アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
小瀬の過去〜石川視点〜
-
***
いつも、いつ見ても、智樹様は一人だった。
学校にお迎えに上がった時。
お弁当を忘れてしまった智樹様にお弁当を届けた時。
……いつも、一人だった。
だが、私はそんな智樹様に気の利いた言葉一つかけられず、何もできない自分に遣るせない気持ちだけが募っていった。
ーーそんな時だった。
智樹様が高校に上がって、いきなり前髪を短くして眼鏡をかけずに学校に行きたいと言い出したのは。
嬉しい反面、一体どういう風の吹き回しでそうなったのかと不思議に思っていたが、どうやら、高校で智樹様を理解してくださる友達を見つけたようだとわかった。
……やっと、友達ができたんだなあ。
今まで友達ができず、一人でいつも過ごしていた智樹様にとって、友達ができるということはこの上なく嬉しかったことだろうと思う。
だが、何故か心のどこかで笑顔で『和哉様』の話をされる智樹様を見ることが辛いと感じる自分がいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
78 / 92