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癒えないもの
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圭太 Side
「はいはいそうだったな
あ、ほらあれなんて魚なんだ?」
「あ゛?
どれ?エイ?」
「違う違う
あの黄色い奴。なんか線入ってる…」
「あぁ!あれはな!
ヨスジフエダイって言って黄色い体に4本の青色縦帯があるのが特徴なんだよ
フエダイっていうのはな、口が前方に突き出て口笛を吹いているような形状をしていることに由来するって言われてるんだ。それであれはな…」
ホントお手軽だな
ついさっきまで怒ってたのに、魚の説明し始めたら子どもみたいに目を輝かせてる。
そして聞いてないものまで次々と説明し始めた。
これはしばらく動く気ないな
分かってるのかな?たしかに俺から繋いだけど、ちゃんと握り返してんだぜお前
すでに手を繋いでることなんて頭にないだろう怜司の話を聞く。
よかった…
楽しめてるようだな
合宿での事を少しでも忘れられれば…
少しは心の傷が癒えるだろうか…?
あの最後の夜…夢にまで見ていたのだろう。震えて泣いていた。
無理やり起こしてやっと落ち着いたけど、俺は何もしてやれなかったから。
当の本人は朝には何事もなかったかのようにケロッとしてたけどな
それでも…
昼間はケロッとしてるけど、多分夜は寝れてない。
それが目元にうっすらとできるクマが証明していた。
日に日に濃くなっているそれに苛立ちがむくむくと膨れ上がるが、原因を叩いたところでこいつのキズが癒えることはない。俺自身を責めても逆に怜司を困らせる。
結局何一つ出来ない自分が情けなくて腹立たしくて、腹の中のムカムカとしたものを消化できずにいた。
どうすればそのキズを完全に取り除いてやれる?
俺はこいつに何をしてやれる?
圭太 Side END
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