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一人なのに一人じゃない
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1人で勉強し始めてテスト日もあと一日を迎えた。
圭太が訝しんでいたが、一人でやってみたいという俺に深く追求してくることはなかった。
むしろ「直前になって助けを求めに来るのがオチだろ」とからかわれて、俺の中の負けず嫌いに火が付いた。
圭太に教えてもらわなくたっていつもの点数とってやる!!!と……
いつも以上に授業を真面目に受けて、わからないとこを聞いて、一目散に家に帰って部屋に引きこもって、いつもより夜遅くまで起きて……
なのにいつも一人で勉強してる気がしなかった。
手あたり次第問題に手を付けても無駄だと言い聞かされていたから、先生の癖や問題の傾向なんかを話していたことを思い出した。問題に詰まった時、解き方を見つけるためにノートや教科書を遡れば、圭太の書き込みが見つかった。解き方の解説や、俺の間違える傾向など…
今まで特に気にしていなかったけど、一日教えてもらっただけでも大量の書き込みがあった。
圭太が俺のノートに触るのはいつもテストの時だけ。いつもいつもガミガミガミガミガミガミ……
ずっと怒ってるくせにいつのまにこんなことしてたんだろ
「起立!」
ぼんやりしてたら終わりのHRが終わる号令が聞こえてきた。慌てて席を立って挨拶を済ます。
よし!早く帰って残りの勉強を……
「レーちゃん大丈夫?」
荷物をまとめていたら、浩介が心配そうに見てきた。
「ん~?なにが?」
「顔色悪いで?やっぱり寝てないんやろ」
「大丈夫ちょっと頑張って勉強してるだけだから」
そう…大丈夫。ほとんど寝てないおかげで嫌な夢も見ないで済むし、勉強もできるから一石二鳥だ
無理しすぎたらあかんよという声を後ろに聞きながら下駄箱に向かう。
でも確かに頭がズキズキする。……気がする。
けどあと一日だ。
その後なら…………ぐっすり寝れるだろうか?
目がかすむ。目元を押さえていたら、階段を駆け下りようとした誰かがぶつかってきた。
その拍子にいつもなら何ともないのに、ぐらりと身体が傾いていく。
あぁ落ちる…
他人事のように落下に身を任せてそのまま意識が途絶えた。
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