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約束って… scene野々村
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「ねー、坂上先生って彼女いないのー?」
教室で担任の坂上にそんな質問を投げ掛ける女子生徒達。
俺はそんな女子生徒達と会話をする先生の返答を、机に顔を突っ伏して聞き耳を立てた。
答えなんて解ってる、「いるよ」そう答えるんでしょ?
彼女じゃなく…彼氏だけど。
そう思ってたのに、先生の答えは…
「いません」
は?
今、なんて?
いないって言った?
「いないのー? じゃぁあたしが彼女になってあげるー」
「生徒は対象外」
そんな会話を聞いて俺はガタンっと大きな音を立て立ち上がった。
あからさまに不機嫌な表情を先生に向けたのに、先生は涼しい顔して
「用事がない奴は早く帰れよ〜」
なんて言って、俺に目は合わせなかった。
ムスッとした顔で体育館に向かった俺はイライラしながらバスケットボールをついた。
恋人がいないなんて答えた理由はただ余計な詮索をされたくないから、きっとそうだろう
でも…いるよって、そう答えてほしかった。
「集合っ」
そんなキャプテンの声に顔をあげると、ジャージに着替えた先生が立っていた
「あー、いい、いいっ練習してろ」
先生はそう言って手をヒラヒラさせた。
俺は先生をジッと見つめると、目があった。
先生は、声には出さずに口をパクパク動かして
「何見てんだよ」
そう俺に言うと、近くに転がっていたボールを手に取り、俺に向かって投げてきた。
さっさと練習しろ…そんな顔をしている様だった。
部活が終わり、先輩達が帰っていく
俺は1人溜息をついて部室の壁にもたれ掛かるると
「長い溜息だな」
『先生…』
「今日、金曜だけど家にくるのか?」
『行かない、俺彼氏じゃないし』
「何だよ、怒ってんのか? 恋人がいないって言ったから」
『生徒は対象外なんでしょ?』
「あれはっ、あー言わないと煩いから」
『解ってる…』
「解ってるなら怒るなよ…」
『解ってるからっ 解ってるからムカつくんだよ』
「お前は…やっぱりまだガキだな、俺にも立場ってもんがあるんだよ」
『どーせ…ガキだよ』
先生は盛大に溜息をついて
「帰るわ」
それだけ言って部室のドアに手を掛けた
『先生っ…』
そう言った俺の声は重たい扉に遮られ、先生は振り返る事もなく行ってしまった。
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