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好きを見せて。9
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「はぁ…」
「どした?」
「んや、なんでも」
昼休みになって屋上で二人、飯を食うため半日ぶりに会う
午前中だけで何度溜め息をついたか検討もつかない。類は心配したのか飲み物から口を離すと首を傾げる
「ま、啓ちゃんが悩むことなんて大体の想像つくけどな」
「え!嘘だろ?!」
「バーカ、嘘なんてつくかよ」
「っ、だよな…」
悩み事の内容は言ってないけれど類の顔は本当に知っているような顔ぶりだった
「先生と付き合えるって思ってなかったからなんか俺変なんだよ」
「なんだ、やっぱり阿久津先生のことか…つか唐突」
「う…だって他に話せる人なんて世界中探してもいねぇもん」
「まぁ、いねぇだろうけど」
啓の発言に呆れたよな顔をする類は適当に返事を返す
「俺、付き合ったらもっとこーラブラブでイチャイチャだと思ってたんだけどさ実際そうじゃなくてなんかあの人俺にだけ態度違うんだぜ」
「どんな風に?」
「な、なんか…え、エロいこととか言葉とか意地悪なんだよすっげぇ!」
「…おー、それで」
「俺、同じ空間に居るだけでもすぐ熱くなってきてさ変になっちまったんだよ」
「別に一緒にいてヤりたくなるくらい普通だろ」
「で、でも…」
「心配しなくても皆そうだよ、啓ちゃんの場合慣れてないだけ」
「そ、かぁ…あんまり心配しなくてもいいんだ」
まったく興味のない話を聞かされ続ける類は途中から飽きたのか素っ気ない態度で話す
「つかそんな啓ちゃんが好きなんだろ」
「!…類に話したら元気でた!」
「それはなにより」
そっか!普通!確かに男子高校生なんだしこれはどちらかと言えば健全だ…
――――――…
「失礼しまーす」
あれ?
「あの…阿久津先生は?」
「緒方啓…何か用か?」
「用っていうか、少し話したいことがあったからさ…居ないならいいんだ」
職員室に来てみると阿久津先生の姿はなく、隣の席の陰険教師…もとい日向センセに聞く
「つか、阿久津先生なら生徒指導室に居るんじゃないか?」
「あー、成る程!さんきゅ」
「あぁ」
そっか!生徒指導室!
てっきり、職員室だとばかり思ってたぜ
流石類の恋人!たまには良いこと言うな~
職員室を出ると足早に生徒指導室まで向かう
***
「ふぅ」
机の上に置かれた資料に一通り目を通すと背伸びをし背もたれに寄り掛かる
コンコン
「失礼します」
「どうぞ…あぁ幸村先生」
「どうですか?」
「まぁまぁ、ですかね…順調ではあるんですけど…」
ドアをノックして入ってきたのは幸村先生
幸村先生はこの学校の養護教諭で年上だが新任の日から良くしてもらっている
「そうですか…」
「大丈夫ですよ俺は全然」
「無理は駄目ですよ、目の下にクマが出来てます」
「え…」
臨海は自分の目の下に手を当て慌てた顔をした
「少し休憩したらどうですか?コーヒー持ってきたのでどうです?」
「…っお言葉に甘えて」
「はい」
この人どうして俺なんかのこと気遣ってくれるんだろうか…
普段は無表情なのに俺の前だと結構コロコロ表情を変えている気がする。他の人には気付かないような変化を俺が気付くだけなのか…
「…阿久津先生?」
「え?」
「なにか見られてるようでしたから」
「あぁ、いや…幸村先生ってどうして俺のこと構ってくれるのかなって」
「…」
あ、変なこと聞いたかな…
「その…」
「へ?」
「阿久津先生は他の人とは違うから…」
「そう、ですか?」
「うまく言えませんが、性格悪いですよね」
「っ…そ」
そんなこと本人に言うか普通…
「あの、悪い意味じゃなくて…どうしてわざとそう振る舞ってるのかハタマタそうしていないと何かを隠せないのか…分からないんです、阿久津先生は謎なんです」
「……だから俺と話すんですか?」
「え」
「合ってますよ、俺はズルいから本当のことは言わないんです」
「阿久津先生…」
「俺はある生徒に手を焼いているんですけど、その生徒…俺のことが好きなんですよ
知ってて知らないフリをして、手が掛からなくなれば俺も評価上がるし…利用してるんですよズルいでしょ」
「…阿久津先生」
「それ、どういうこと…?」
「!緒方啓…今授業中じゃ」
幸村が臨海に話しかける寸前に扉が開く
そこには眉間に皺を寄せ臨海を睨み付ける啓がいた
「なぁ!今のどういうことなんだよ…全部嘘だったの?俺のこと好きって言ったのも全部……っ」
「うん、そうだよ」
啓の言葉に悪びれた様子もなく溜め息を1つ溢すと臨海は答える
「っ!!」
パシィ!
頭に血が上った啓は臨海の頬を思い切り平手打ちするとその場を駆け出した
「……ぃった」
「…本当、ズルい人ですね…」
「はは、でしょう?」
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