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5 回想~初めての夜~
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俺がタカさんの誘いを断ったのには理由がある。
明日も仕事であるということ。
タカさんに付き合うと、夜中の2時、いや3時までは最低でも付き合わされるということ。
そして何より、襲われるーーーから。
そう。襲われてしまう。
もっと具体的にいえば、タカさんに犯される。
初めて俺がタカさんに襲われたのは、もう、1年ほど前。
それはタカさんのアシスタントについてすぐのことだった。
俺は手荒れに悩まされていた。
今までも手荒れはしていたが、予約客の多いタカさんのアシスタントについてからはこなすシャンプーの回数も増えるし、薬剤に触れる機会も多くなる。
当然、俺の手荒れも酷くなった。
美容師を辞める者の中には手荒れが理由の者もいる。たかが手荒れと侮ることはできない。
営業後、そんな俺に、タカさんが良い皮膚科を紹介してやると言ってきた。
けれど、その皮膚科はちょっと狭い路地の入り組んだ所にあるらしい。
「明日、休みだろ?行ってこいよ。今から俺が一回そこまで道案内してやっから」
「いや、タカさん、それは悪いです。ネットで地図検索しますから」
「あ~ん?俺様の好意を断る気か~?」
意地悪く笑うタカさんに頭を撫でられる。
「ん~、あぁ・・・じゃあ、ゆうと道案内したら帰りに俺んちで飲もうよ~。仕事を円滑に進めるためにもスタイリストとの親睦は深めなきゃ~」
「えっ・・・えと、じゃあ、お願いします」
「よし、じゃあ、行くぞ。ゆうともチャリだよな?駐輪場行くぜ」
スタスタと前を歩くタカさんに俺はついて行った。
伊達皮膚科というその病院は本当に細い路地を入り組んだ所にあり、これでは、ゆうとは地図を見ても2~3回は間違いなく迷子になっていただろう。
そして、そのまま自転車を反転させ今度はタカさんの家へと向かった。
さすが人気店のトップスタイリスト。
住んでる家も安月給の俺とは大違いに高級そう。
てか、俺知ってる。ここ、家賃30万くらいするとこだろ。
部屋も広いし、綺麗に整頓されている。
「タカさん、あそこ本当に場所わかりずらい。教えてもらってて良かったです。ありがとうございます」
「だろ~?」
俺をリビングのソファーに座らせると、タカさんはキッチンからお酒とおつまみを持ってきてくれた。
「あっ、すみません」
「ん?そんなかしこまらなくていーよ。ゆうとは酒何が好きなの?とりあえず今日はワインでもいー?次回からはゆうとの好きな酒ばっちり準備しとくからさ」
ソファーの横に座ってタカさんはまた頭を撫でる。
「あっ、ビールが好きです。でも、基本なんでもいけます」
正直、ワインは酔いがまわるのが早くて苦手だが、飲み過ぎなければ大丈夫だろう。
「じゃあ、次回からはビール用意しとくね」
「あっ、ありがとうございます」
タカさんの手はまだ俺の頭を撫でたままだ。
なんだろう。
俺、子ども扱いされてるんだろうか。
たしかに年も違うけど、俺は今年で23、タカさんは28で5才しか違わない。
そんな子どもにするみたいに頭撫でなくてもよさそうなもんなんだが。
こてっと頭を傾げ、タカさんを見上げる。
「~~~っ。ゆうと、まぁ、飲め」
なんだろう。目があった瞬間タカさんがビクッとした。
手を頭から退けてくれたのはいいけど、今度はそっぽ向いちゃったよ。
ん?心なしか顔が赤い?
そんなに飲んでないよな?
タカさんの事はタカさんにしかわからない。
俺は気にせず、ワインを飲むことにした。
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