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良人さんの手が優しく髪を鋤き、そこを切り落とす。
伸びていた髪がどんどんと良人さんの手によって整えられていく。
「マサト君、真面目な性格っぽいな~。それと、ちょっと頑固なところがあるかな?それにしても、はぁ・・・本当に、良い頭の形・・・ヤバいなぁ。最高だ・・・」
良人さんが少しうっとりとした顔で鏡の中の俺を見つめる。
「はぁ、頭の形はわかんないですけど真面目で頑固ってのは合ってるかもですね。でも、なんでそんなこと?」
「あぁ、髪質から推察した性格判断。結構これが当たるんだよ?」
「へぇ」
「マサト君の髪は、素直だ。適度に腰もあって芯が強い。しなやかって言葉がしっくりくるとても良い髪質だよ。・・・しいて言えばそれだけに、カットラインがキレイに出過ぎるところが唯一難しいとこかな?」
正直、良人さんの話は良くわからなかった。
けど、なんだか楽しそうに話していたので俺も嬉しい気持ちだった。
優しい、時間だった。
とても穏やかで、和やかな時間。
カットが終わったらしい。
濡れた髪をドライヤーで乾かしながら、頭を撫でるように髪を揺らし細かい毛を散らしていく。
その手は大きく、心地よかった。
「あ、よしさん、カット終わりました?お流ししましょうか?」
ドライヤーの音でカットが終わったことに気付いたあきこさんが仕切りからひょっこり顔を出してきた。
「あきこ、良いのか?なら、お願いしようかな」
良人さんはそう言ってドライヤーをもとに戻し、俺の頭から手を退けた。
「はぁい。って、やだ!この子めっちゃ化けましたね!!わぁ~こんな格好良かったんだぁ~」
あきこさんはカットを終えた俺をじろじろと眺める。
「あきこ、マサト君困ってるだろ。変な事言うなよ」
「いやぁ、だってよしさん、これはちょっといくらなんでも化けすぎですって。はぁ・・・カットでこんだけ変わるもんなんですね」
・・・そんなに俺は元が悪いのか。
あきこさんの言い様にちょっとショックを受けつつ、眼鏡をかけ鏡を見る。
そこにいたのは、確かに俺じゃなかった。あか抜けた好青年・・・というか、俺こんなに格好良かったのか。
ちょっとだけ自分に見惚れてしまう。
カットでこれだけ人の印象を変えてしまえるなんて、本当に良人さんの腕は良いんだろう。
「わちゃ~。せっかく色男が出来上がったのに、眼鏡かけたら勿体ないことこの上ないわね・・・眼鏡なしで歩ける?そのままシャンプー台行こうか。皆、今の君を見たらびっくりするよ」
「・・・」
眼鏡なしで歩くのは、正直心許なかったし大人しくあきこさんの言う通りにするのもなんだか釈然としないものがあったが・・・せっかく良人さんがカットしてくれて変わったのだ。
出来る限り最高の状態で居たかった。
せめてもの反抗であきこさんの言葉に無言で従う。
眼鏡を元置いておいた台の上へと戻し、良人さんにクロスを外してもらい、俺はあきこさんの後をついて再びシャンプー台へと向かった。
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