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「にしても、本当に変われば変わるものね。本音言うと、最初はなんでこんな眼鏡のモサイ子連れて来たんだろうって思ってたんだけどさ、素材は良かったってわけだ。鼻筋は通ってるし、眼鏡外せば目許は涼しげだしお肌もツルツル、背も、君180近くあるでしょ?モデルは背が高いにこしたことはないし、若いだけあって程よく締まった洋服着映えしそうな体だしね・・・いやぁ、参ったわ。ん?てか、何気に君、頭の形めっちゃ良くない?わぁ~これは・・・うん。後頭部フェチのよしさんがわざわざ今日連れて来たのもわかるかも・・・てか、こんだけの良い素材をあんだけ殺してた君もすごいわ」
・・・えと、あきこさんのマシンガントークは凄まじく、息継ぎは大丈夫なのかと心配になる程だった。
相槌を打つ間もない。
カットスペースから再びシャンプー台へ案内され、細かい毛を流してもらった。
その、シャンプーするよりはだいぶ短い流しの時間中、あきこさんの口は忙しなく動き止まることはなかった。
そして、作業が終わるとまた良人さんのいるあのVIPルームへと再び戻る。
スタッフの側を通ると、お店に来た時とは打って変わって好意的な視線を感じた。
ガヤガヤと、俺を見てざわめくその言葉も聞こえてくるのは良い言葉ばかり。
けど、その反応に嬉しい反面、そんなにカット前の俺は酷かったのかと、少し気分が沈んだ。
「よっしさ~ん、お流し終わりました~。もう大好評!スタッフ皆びっくり仰天ですよ~」
「あ~・・・マサト君ごめんね?騒がしくて・・・嫌な思い、してないかい?」
あきこさんの方を向き顔をしかめ、その後心配そうな表情になった良人さんが俺を気遣う様に覗き込む。
「大丈夫ですよ」
俺は笑顔でそうこたえる。
すると安心したのか、良人さんは俺を椅子に座らせると、
「なら良いんだけど・・・よし、マサト君仕上げしちゃおうか」
と、笑顔に戻った。
「あ、そうだマサト君、髪触ってみて?どうかな?重いとことか、長さ気になる所はない?」
良人さんにそう言われ、俺は自分の頭を触る。
無造作に伸びきっていた髪が、すっきりと短くなっている。
重さやらなんやら、細かい違いなど髪に頓着していなかった俺には良くわからない。
そもそも気にはしていないが、一応確認する振りをして、問題のないことを伝える。
すると、良人さんは濡れた俺の髪をドライヤーで乾かした。
やっぱり、良人さんの手で頭を触られるのはなんとも言えず心地いい。
髪を乾かし終えると、良人さんはドライヤーを片付けながら、
「じゃあ、眼鏡をかけて鏡を良く見て」
と言ってきた。
言われるままに鏡を見ると、やはり、自分じゃないような自分がそこにいる。
「ふふ。この子自分があんまり格好良くなったもんだから、戸惑ってますよ、よしさん」
シャンプー台から戻って、仕上げの様子を少し離れた所からずっと見ていたあきこさんが俺をからかうように口を挟むのを、良人さんはたしなめた。
「あきこ、マサト君に失礼なこと言うなよ。俺は丁重におもてなししろっつった筈だよな?」
多分、穏和そうな良人さんは普段こんな風に威圧的な物言いはしないのだろう。
あきこさんが目に見えて慌てている。
「わぁ!!すみませんっ!つい・・・あはは」
・・・あきこさんって、すぐ調子に乗っちゃうタイプなんだろうな。
大人の人が人前でこんな風に自分の感情を露にするのを俺はあまり見たことがない。
なんだか、すごく新鮮なものを見た気がして楽しかった。
「ったく」
しばらくあきこさんを睨んでいた良人さんが、笑顔でこちらに向き直る。
「どお?すっきりしたでしょ?普段はこのまま何もしなくても大丈夫なんだけど、今日はせっかくだからワックスつけても良い?」
その言葉に頷くと、良人さんは最高の笑顔を俺にくれた。
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