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家へ帰ると、その日塾で勉強するはずだった内容を確認する。
サボりはしたが、こうしてきちんとサボった分を自分で復習する辺り良人さんの俺に対する“真面目”という性格判断は間違っていないのだろう。
あきこさんの言葉じゃないが、眼鏡ではせっかくの髪型が少々野暮ったくなるので明日からコンタクトにすることにした。
そして夕飯の時、眼鏡からコンタクトに変え短くなった髪を見ても、予想どおり父も母も何も言わなかった。
・・・そんなもんだ。
父も母も、別に俺を愛していないわけじゃない。
けれど、“俺”という人間にはあまり興味はない。
あくまで、出来が良く自慢になる“息子”がいればそれで良い。
昔、テストで満点を取っても、それがさも当然のように何の反応も示さないので、一度わざと悪い点数を取って帰ったことがある。
結果は最悪。
確かに反応はあったが、それはヒステリックな怒りをぶつけられただけ。
それ以来、なんか色々・・・親に対して優しさだとか構って欲しいだとか甘えたいだとかいう感情に蓋をした。
願っても貰えないものに執心し、抗ったところで自分が苦しいだけだから、それなら最初から無かったことにして蓋をした。
色のない世界、毎日、毎日、勉強しかないつまらない、どうしようもなくつまらない日々・・・。
俺は心の底から楽しそうで、キラキラとしている大人たちに出逢った。
夢を持って努力する大人たちに出逢った。
それは俺にはすごく眩しくて、とても輝いて見えた。
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