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16 大会に向けて~良人の気持ち~
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「あきこ~おはよ。大会のモデル決まったよ~」
マサト君と会った翌日、俺はモデルが決まったことをあきこに報告した。
「おはようございます。マジですか?う~わ~よしさんやったじゃないすか!!で、どんな子なんですか?」
まるで自分の事のように喜んでくれるあきこに、
「ふふふ~。マサト君を口説きおとしちゃった」
と言ったら、呆れられてしまった。
「うわ。あの子確かその日は塾で大切なテストがある、とかなんとか言ってませんでした?それなのに、サボらせちゃうなんて・・・よしさん・・・わっるい大人ですねぇ」
顔を歪め、心底しょうもない・・・と思ってやがるのがわかる表情に、俺はちょっとだけむくれる。
「う~るさいなぁ。それなりに罪悪感は感じてますよ・・・でも、それよりも美容師の仕事に興味を持ってるマサト君にとっては、これって良い経験なんじゃない?進路について悩んでるみたいだし、これがきっかけで本当に美容師目指しちゃうかもよ?」
「まぁ、何でも良いですけど・・・とりあえず衣装ですね~。もう、本番どんな感じに切るか決めてます?それに合わせて準備して、あぁ、試着もしてもらわなきゃ・・・あと、カラーとかの仕込みの日にちも決めてもらわないと・・・」
なんだかんだ言いながらも、俺よりも的確にこれからやるべきことを考えてくれるあきこには頭があがらない。
本当に、頼りになりすぎるアシスタントってのも考えものだ。
ついつい無意識に頼ってしまって自分を甘やかしてしまう。
「デザインは、何パターンか明日までにデッサンしとこうかな~・・・で、その中からマサト君の意見も聞いて、決まったやつに合わせて衣装を揃えよう。あ!今日、マサト君が見学に来たら写真とっといてよ」
「了解ですっ!」
「カラーが問題だよね~・・・高校じゃ校則で禁止されてるだろうからさぁ・・・。ん~これもマサト君に相談しなきゃね」
ふふふ・・・楽しくなってきた。
普段のサロンワークも勿論大好きだけど、こうして大会に向けて色々と準備をし、自分の創りたいものを自由に表現することも最高に楽しくて最高にやりがいがある。
「・・・楽しくなってきた」
「おぉ~、やる気ですね!よしさん、頑張りましょう!!」
大会までは、あと少し・・・。
思い残す事のないよう、全力を尽くす。
その為には・・・あぁ、色々考えただけで本当にワクワクしてきた。
気持ちが充実していると、不思議と仕事は捗るもので、怖いくらいに順調にサロンワークをこなす。
案の定、マサト君は今日久しぶりに見学に来ていて、あきこに写真を撮ってもらうことが出来た。
これで、イメージがしやすい。
その日の営業終了後店に残り、俺はひたすらヘアデザインのデッサンを描いた。
どれも、無難にマサト君に似合うだろうけど・・・なんだろう、いまいちピンと来ない。
マサト君を、どんな髪型にしていこうか・・・マサト君本人の意見も参考にしたい。
俺は、マサト君にメールして近々お店に寄れる日にちを聞いた。
気づけば、サロンには俺一人。
時刻は深夜となっている。
慌てて帰る準備をし、戸締まりやなんかの確認をしてお店を出た。
ふと、携帯の画面に表示された日付が目に入る。
大会まで、もう2週間を切っていた。
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