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18 お泊まり
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翌日、約束したとおりに夕方、塾が終わると良人さんに会いに美容室へ向かった。
「あ!きたきたーー!!マサト君、こちらにどうぞー」
美容室の扉を開けると、すぐにあきこさんが気付いてくれて空いている席に俺を案内してくれる。
席に着くとすぐ、
「今、よしさん手が離せないからちょっとだけ待っててね?ん~・・・あ!そうだ・・・」
と言って、あきこさんは何を思いついたのか、俺を残しどこかへ行ってしまった。
そしてすぐ、手にスケッチブックを持って帰って来る。
「コレ、よしさんが描いたデッサンだよー。どれが好きか、見てて?」
「はい」
俺は素直にそのスケッチブックを受け取り、良人さんのデッサンを見せてもらうことにした。
あきこさんは、他にも数冊雑誌を持って来て席の前に置くと、
「またね」
と言って、仕事へ戻って行く。
スケッチブックを開くと、確かにデッサンが何枚も描いてあった。
中には、女の人の髪型のものもある。
どれも、髪の毛の流れがきちんと描かれていて、見開きの隣のページには、良くわからないけどその髪型の図解・・・のようなものもある。
ページを進めていくと、俺の名前が書いてあるところを見つけた。
全部で5パターン、カットのデザインを考えてくれている。
「どう思う?」
ずいぶんと夢中で見入っていたらしい。
良人さんが声を掛けてくるまで、気配に全く気付かなかった。
「凄いですね。こんなの、初めて見たからなんて言ったらわかんないけど・・・凄いです」
「マサト君、このどれかにカットされるなら、どれが良い?」
良人さんにそう言われ、改めてデッサンを見る。
どれも、それぞれに個性的で格好良いと思う・・・けど、じゃあどれが自分に似合うのかと言われれば、良くわからない。
好き嫌いで言ったら、どれも嫌いではないし、俺はなんて答えるべきかわからなくて困ってしまう。
「えと・・・良人さんが良いと思うもので大丈夫です。嫌なやつはないです」
俺がそう言うと、良人さんの表情は曇る。
「そっ・・・かぁ~・・・う~ん・・」
「よしさん、カラーの相談を先にしたらどうですか?カラー次第じゃ、デザイン変えなきゃでしょ?仕込みの日程も決めておいて下さいね?」
難しい顔をして考え込んでしまっている良人さんに、あきこさんが声を掛ける。
そしてそのまま、忙しいのだろう・・・良人さんの返事も聞かず、またすぐどこかへ行ってしまった。
「あはは・・・あきこが色々・・・段取りとか俺よりしっかり立ててくれるものだから、最近頭が上がらないんだよ。さて・・・と、じゃあ言われた通りにしようかな。マサト君、高校では勿論カラーリングは禁止されてるよね?」
「はい」
「大会が終わったら、その日の内に元の黒髪に責任持って戻すから、カラーさせてもらえないかな?」
「それは、大丈夫です・・・けど、大会前に親に髪を染めるのがバレるとちょっと面倒なので・・・どうしましょう?」
どうせ塾の全国模試もサボるのだ。
大会の後で髪を染めたことがバレるのは構わないのだが、さすがに事前に明るく染めた頭を親に見られるのはマズイ・・・。
「え?染めさせてくれるの?良いの?大丈夫?」
俺が、カラーリングを拒否すると思っていたのか、良人さんは目を丸くして驚いている。
「良人さんを、信頼してます。だから、好きにして良いですよ?」
「まーじかぁ~・・・いや、ありがとう。あ~・・・そうなると、問題は日にちだな。さすがに大会当日の朝染めるわけにもいかないし・・・」
そこで、再び良人さんは考え込んでしまう。
「そうだ・・・マサト君さ、お泊まりとかって出来るの?」
「多分・・・今、夏休みですし大丈夫なんじゃないすかね?」
「じゃあ、決まり!!大会の前日にカラーしよう!んで、俺んちに泊まって大会が終わったら黒髪に戻して、家に帰る・・・良いかな?ちゃんと、事前にご両親にお泊まりの許可を取ってね?」
「えっ・・・あ、あのっ・・・」
いきなり良人さんの家に泊まるなんて話になってしまい、戸惑う俺に構わず、良人さんは嬉しそうに近くを通ったあきこさんに報告しに行ってしまった。
良人さんは、笑顔のまま俺の側へ戻ると、頭を触る。
「ふふ。やっぱりマサト君の頭の形は最高に良いね・・・これを生かさない手はないよね?ごちゃごちゃせずに、シンプルに攻めよう」
楽しそうな良人さん。
悩みがなくなったっぽいのは俺も嬉しいんだけど・・・。
俺は、どうしても気になったことを良人さんに聞く。
「お泊まりなんて、良人さんの家にお邪魔して迷惑じゃないですか?」
「いや、むしろ楽しみだよ~。俺、一人っ子でさ、まぁ、一人っ子は一人っ子で色々ラッキーな事もあったけど、やっぱり寂しいもんだからお泊まりとかテンション上がるんだよね」
笑顔でそう言う良人さんからは、俺に気を使って言っているわけではなく本当に楽しみにしてるのが伝わってきて、
「よろしくお願いします」
俺は、良人さんの案を受け入れることにした。
その後、あきこさんと衣装合わせの日程を決めてお店を出た。
似合わなかった時の変更の準備もあるので、今週の日曜日の夕方にすることに決まった。
そしてその夜、親にお泊まりの事を話した。
勿論、本当のことは言えないから学校の友達と勉強合宿をするのだと嘘をつく。
ちょっとドキドキしたけど、拍子抜けするくらいすんなりと親にお泊まりの許可を貰うことが出来た。
良人さんに、泊まれることをメールで報告をする。
その返事はすぐに来て、これで良人さんの家にお泊まりすることが確定してしまった。
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