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『ヤッバい。母ちゃんすげぇ怒ってる』
「何やらかしたんだよ」
『掃除から逃げてきた』
「アホか。掃除くらいやれよ」
『だって、面倒くさい。何、年末の大掃除って』
「普段から綺麗にしておけば必要無いのにな」
『はぁ?やってるし、普段から綺麗にしてるし』
「嘘つけ、絶対やってねぇだろ」
『1回しか部屋見た事ないくせに』
「想像できる。お前の部屋の状態を」
『うるせぇな、お前は母ちゃんかよ』
「誰が母ちゃんだっつうの」
『いいんだよ、30日まで片付ければ』
「ほら、結局やってねぇんだろ。ちゃんと終わるのかよ31日まで延ばすなよ」
『延ばさねぇよ』
「じゃぁ…終わったら31日会おう。夜、初詣行かねぇ?」
『あ…それ…』
「何?」
『や…あの…31日から家にいなくて。母ちゃんがさ、ばぁちゃんの家に皆で行くって…』
「あぁ、そっか。じゃぁ帰ってきたら行くか?」
『うん…』
仕方ない事だけど、断った事がなんとなく気まずくて、別に行けない事に何か言われたわけじゃないのに胸がチクチクするような…
ずっと会わないわけじゃない、解ってるのに草野の顔が見れなかった。
帰り際、玄関で草野が俺に外は寒いからとダウンジャケットを着せてくれた。
「こっち帰ってきたら連絡しろよ」
『わかった、あ…でも暇あったら遊びにくるわ』
「…ちゃんと掃除しろよ」
『やりますよ。終わって暇ならって事』
「おぉ、帰り気をつけてな」
『母ちゃんか』
「誰が母ちゃんだよ」
じゃぁな、と笑って扉を閉めた。
外の空気は冷たく澄んでいて、大概そんな日は星が綺麗に見える、俺は白い息をフゥーっと吐いて歩き出した。
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