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とも10
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…………
ともは白い紙を前にしてあれこれもう小一時間以上悩んでいた。
目を閉じると人形のようなゆうの姿がフラッシュバックする。
それはいつも白黒の世界で、ただあの鮮血の赤だけが美しいくらい鮮明に映し出されていた。
次に規則正しい呼吸と心音を奏でながら、ベッドの上に横たわるゆうを思い出す。
少し血色を取り戻したゆうはいつもと変わらない姿で、ともはいつ目を覚ますかもわからないゆうの寝顔をいつまでもいつまでもただ眺めていた。
母親に言われて一度見舞いに行ったそれっきり、ゆうには会っていない。
会いたくても会えなかった。
だって…
ゆうを追い詰めたのはこの僕だから。
その事実だけが重くともにのしかかる。
手紙を書くか書かないか…
悩んだところで書かずにはいられないことも分かっていた。
ともは軽く息を吐くと、ボールペンを握り直して、白い紙に黒いインクを走らせた。
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