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まさと13
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「あーあ、まさとが先輩かぁ」
紙パックのジュースを片手に、隣りのゆうが盛大な溜息をついた。
「へへへ、これからは先輩を敬えたまえよ、後輩くん」
俺はベンチにもたれかかりダルそうに座るゆうを自慢気に見てやった。
「ちぇっ」
つまらなそうに舌打ちをする。
入院していて休学中のゆうは、春からまた一年生をやり直すことになっていた。
そして俺は順調に二年生を迎える。
なんだか先輩とかこそばゆい感じだけど、まー実際は何も変わらないんだろうなとは思う。
一緒に授業を受ける機会が無くなってしまうのは残念だけど仕方ない。
今日は気分転換をしたいと言って大学に出て来ているゆうだが、俺としてはゆうといると楽しいし?毎日でも来てほしいところだ。
ゆうはどーなんだろうなー
俺といて楽しいんかな?
…なんて思いながらチラリとゆうを盗み見る。
相変わらずの整った顔でチューチューとストローを咥えている姿が微笑ましい。
「あ、もうこんな時間か」
ゆうが左腕にはめられた時計を見る。
今まで時計なんかしてなかったのに、傷口を目立たなくさせる為なのだろう、まだ真新しいベルトが太陽の光を反射させていた。
「なぁ、もう帰るのか?」
「ん?あぁ。まさとはこの後授業あるんだろ?」
確かに一コマだけ授業はあるけど…
すっかり飲み干してパックを握り潰すゆうを見る。
…………
「いや、今日はいいや!、、な?久しぶりに俺ん家来いよ」
気づいたら口が勝手に誘ってた。
なんか置いてかれるのが寂しい…とか。
俺、アホか?
「二年になれなくても知らないよ??」
「ま、そん時は一緒にさ、もう一回一年生やろーぜ」
「ん、そりゃあ頼もしいな」
ゆうが俺の肩に手を回して笑う。
俺もゆうの肩に手を置くと、二人で顔を合わせて笑った。
ゆうが近くにいることに安心する。
でもふと思う。
何も無かったかのように明るい顔で笑うゆう。
自殺未遂を起こしているなんて誰が想像するだろうか。
まだ歩き出したばかりなのだ。
誰かが支えてやらなくちゃ…
俺たちは肩を並べて学校を後にした。
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