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ゆう53
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あれだけ帰ったらまさとと仲直りしようと意気込んでいたにもかかわらず、最寄り駅に着いた途端急に緊張し始めた。
今さら何て言ったらいいんだろう。
謝るにしても原因がわからない。
まずは怒ってる理由を聞かないと…
そんなことを考えていると、後ろからスーっと車が近づいて来るのを感じて、ゆうは慌てて振り返った。
危なっ!
元々車が一台通るのがやっとの細い道だ。
車はゆうに触れるスレスレのところで速度を落とすと前方で停車した。
その不審な車を警戒しつつゆうは横を通り過ぎる。
すると車の窓が開けられて、中から知らない男の人が顔を覗かせた。
「こんにちは?ねぇ君、いつも花屋でバイトしてるコでしょ?」
ゆうは黙ったまま眉間にシワを寄せる。
男は無言で通り過ぎようとするゆうの横に平行するように車を走らせた。
「いつも可愛いコがいるなぁって思ってたんだよね」
「…………」
「ちょっとだけでいいからさ、一緒にドライブしようよ」
ゆうはピタリと足を止める。
「あの、俺男ですけど」
「へ?知ってるよ」
男は当然でしょといった様子で車から降りてくると、ゆうの目の前に立ち塞がった。
ポカンと開いた口が塞がらない。
座ってるとわからなかったが大柄な男だ。
歳は三十過ぎといったところだろうか。
さとるさんと同じくらいにも見えるが実際はもっと若いのかもしれない。
黒い肌が少しその男を老けさせて見せていた。
「それに…」
そう言ってゆうの肩に手を掛ける。
何だか嫌な気配を感じて、そこからゾワゾワと悪寒が背中を駆け抜けていく。
「君がAVに出てたのも知ってるよ」
「え、、」
目を見開いた瞬間、腹にズンッと痛みを感じて自分の意志とは関係なしに意識が遠のいていった。
その一瞬、そういえば以前も同じようなことがあったのを思い出す。
あの時も腹を殴られて…またこの繰り返しなのか?
そこでゆうの意識は完全に途切れた。
下手くそな鼻歌が聞こえる…
ゆうはぼんやりと瞼を上げた。
身体が小刻みに揺れていて、ここが車の中だとわかる。
逃げないと…
起き上がろうとして顔を顰めた。
……っ!
殴られたところが痛い。
さらにそれだけじゃなく手足も縛られている。
ご丁寧に猿ぐつわまで咬まされていた。
「あ、気づいた?」
男は鼻歌を止めミラー越しにゆうを見る。
「ほんとは君頼まれものなんだけどね、その前にすぐ使えるようにしてくれって言われてるからさ、悪いんだけどちょっと寄り道するよ」
そう言って男はスピードを上げ、再び聞きたくもない鼻歌を歌い出した。
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