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マリモ
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食事を終えたところで食堂が再び騒がしくなつまた。
「副会長様ーー!」
「会計様ーー!」
「書記様ーー!」
運良く会えた。
というわけでもないな。一宮の態度や今の顔を見れば、こいつは知っていたな。
「マリモ、消えろ!」
「皆様が汚れる!」
歓喜の中に聞こえる罵声。俺のいるところからは伺えないが1人容姿的に良くないのがいるということは予想出来た。
「……」
俺のいる特等席の所に来た時、目を疑った。
まさに絶句。
鬘? と思うようなモッコリとした髪は脂ぎっているのか変な艶をみせ、丸型の瓶底眼鏡は薄汚れていて曇ってて顔の半分を隠している格好の生徒が、イケメンたちを侍らせていたのだ。
その生徒は俺たちを見ると、口元が弧を描く。
「凰牙!! お前なんでオレと一緒にいないんだよ! 友達は一緒にいないといけないんだぞ! でもオレは優しいから謝ったら許してやる!!」
この子は……、見た目だけでなく中身も……。しかし、どうやったらコレに惚れるのだ? 見た目か中身どっちかがいいなら分かるが。
あれか? ギャップ萌えというやつ。見た目は大人しそうで暗そうな感じなのに、実際話すと元気が良くて、そのギャップで……とか? 俺には理解出来ない。
「ああー! お前は誰だ!! お前、カッコイイな! 友達になってやるから名前教えろよ!!」
今気付いたというように声を掛けてきたが、この生徒が一宮に文句を言う前に俺を見たのを知ってる。
俺は教師だ。こいつは生徒。
話したくないが立場上、生徒を無視するわけにはいかないと、自分自身に言い聞かせた。
「俺は教師で生徒会顧問の御堂隼人だ」
素っ気なくなってしまうのは仕方ない。
「隼人だな! オレは橘(タチバナ)真澄だ」
いきなり名前の呼び捨てとは。一宮でさえ姓だったのに。
「橘、俺は教師だ。弁えろ」
言い方がキツくなってしまったのは仕方ない。
「なんで、そんなこと言うんだよ! さ、差別だ!! いけないんだぞれ!」
「差別ではない。区別であり世の道理だ」
今のままでは社会に出てから困ることになる。
「分かった! オレがこんな恰好だから、そう言うんだな! 人を見た目で判断しちゃいけないんだぞ!!」
どこから、その結論に至った?
「橘、見た目は大事だぞ? 第一印象というのは見た目でほとんど決まる。お前の場合は容姿の良し悪しの前に、その不潔な恰好をどうにかしろ」
顔が整っていて不潔な人と、ブサイクだけど清潔な人では後者の方が好印象を与える。俺はそれを伝えたかったが、橘は泣き始めた。
「うわわわわん! なんでそんなイジワルなことばっかり言うんだよー!!」
高校生にもなって、幼稚園児のように泣くのか……。
「真澄、泣かないで下さい」
「マスミん、マスミんは笑ってるほうがカワイイよ?」
「イイ……コ、イイ……コ」
黙って成り行きを見守っていた橘の取り巻きたちが、頭を撫でたり抱き締めたりして宥めた。
黙っていただけで、ずっと俺を睨みつけていたけどな。
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