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可愛いヤツ
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腕の中にいる一宮を見ると、まだ顔は赤いままだった。
「一宮、仕事したいから」
「ヤダ」
最後まで言い切る前に拒否られる。
「一宮」
「ヤダ」
「……」
どうしたものか。
勿論、原因は俺にある。
一瞬周りを忘れて一宮の唇を堪能してた。自分の立場を忘れるなんて俺らしくない失態だ。
とはいえ、仕事しない訳にもいかない。
「仕事させろ」
強い口調で告げれば、一宮の肩が跳ねた。
恐る恐る顔を上げた、その眼には不安の色が見てとれる。
「仕事が終わったら甘やかしてやるから、な?」
髪を指で梳きながら言った。少しの間のあと、一宮は俺から離れて副会長の席に座る。
「一宮?」
「さっさと終わらせる」
何だ、こいつ……。
俺に甘えたいがためにやるって……、まさか俺に惚れてるのか?
ニヤける口元を右手で隠した。
「一宮、お前の席はあっちだろ?」
左の人差し指で会長席を指し示す。
「……あそこは御堂の方が似合う。それに俺様には座る権利がない」
今まで仕事をサボってたから、責任を感じてるんだな。もしかしたら、仕事をするキッカケが欲しかったのかもしれない。
「お前は生徒会長だ。あの席に座って生徒会長らしく仕事しろ」
一宮の頭を軽くポンポンとすると、一宮は下を向いて顔を隠した。
ガキ扱いされたと思って怒ったのか? そんなつもりはなかったのだがな。
腰を曲げ顔を覗き込むと、そこには真っ赤になった一宮の顔があった。
怒ってるというより、照れてるのか……?
「み、見んな!」
一宮は立ち上がり生徒会長席の方に行こうとするが、俺が一宮の腕を掴み引き寄せた。ポスンと俺の胸に一宮の背中が当たる。
「お、おい!」
慌てふためく一宮のお腹に腕を回して、逃がさないようにした。
「し、仕事するんじゃねぇのかよ!?」
「するよ」
「そ、それなら離せ!」
「……」
悪態つく一宮を無視し彼の体温を満喫する。
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