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仮装2
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そして続々と順番は回り、選手たちは自らの順番が来るたびに多種多様な反応をしていた。
そんな中一際大きい歓声が上がったので次走者を見ると忍がスタートラインに立っていた。
見るからに機嫌が悪い。
と言うよりまさに絶望、といったところだろうか。
周りからは歓声が飛び交っているが、忍はニコリともしない。
クールな面持ちだとかそこがいい、だとか言う忍推しらしい男子生徒の声がちらほらと聞こえる。
ピストルの音が鳴り、一斉に走り出す。
忍はリュウ程とはいかないがそれなりに足が早かった。
然し、コース上に置かれた紙を見ると教科書通りに固まった。
「これを…俺が着るのか…?」
どうやら現実が受け入れられないらしい。
そうこうしているうちに後衛が迫ってくる。
「忍!!後ろが来てる!!頑張れ!!」
「っ…!!」
俺が忍にそう叫ぶと、少し困惑したあと意を決したように簡易更衣室へと帰って行った。
暫くの間ザワザワと、様々な憶測が飛び交っていたがその騒めきはカーテンの音とともに鎮まった。
「っ…忍…」
忍はThe セーラー服を身に着けていた。
美少女戦士さながらのその格好は忍に酷く似合っている。
「〜っ…!!!!」
大衆の面前に晒された忍は顔をこれ以上ない程紅潮させている。
短いスカートを手で押さえながら恥じらうその姿に余計に劣情を誘われるというのに、忍はそれに気付くはずも無い。
「忍!!ゴールしたら脱げるから、あそこ迄頑張れ!」
「っ、くっそ…!!」
忍は俺が指差した方向を睨みつけると、ぎゅうと拳を握りそのまま走り出す。
走った足からチラリと見える白い太ももに周りからは感嘆の声が上がる。
そこからは再び忍の独走で障害物を難なくくぐり抜け、見事一位でゴールした。
「忍クン…」
「楢島…」
ゴールし終えたあと、顔を絶望に染めた楢島と忍は珍しく何も話す事なく大人しく隣で座っていた。
「俺、ますます行くの嫌なって来たわ…」
「頑張れ貴澄。お前なら出来る」
「他人事やなぁ…お前もやるんやからな…」
他人事というより、ただの現実逃避である。
「って、もう俺の番来てもうたわ…笑うなよ、裕哉」
「笑わないよ。ちゃんと見てる」
「それはそれで…恥ずいねんけど…」
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