アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君想う
-
裕哉が会長と一緒に部屋を抜けてから30分弱。
最初から不安そうな面持ちをしていた亜嵐の顔が悲しみの色に染まり始めていた。
(悲しそうな顔…)
「亜嵐。底の書類、崩れかけてるぞ」
「あ、うん…って、うわっ!もう崩れてるし!」
亜嵐の机から床に散らばった書類は量が量だったのでかなり広範囲に広がってしまった。
「仕方ねぇな…」
椅子から降り、散らばってしまった書類を拾っていく。
「あ、あはははっ…あ、ありがとう…」
「ボーッとしてんじゃねぇよ。」
「うん…ごめん」
床の書類に目を落としているせいで伏し目がちになっているからか、余計に悲しそうな顔をしているように見える。
なぁ、亜嵐。今、何を考えてる?
お前の人生は裕哉にしか埋められない?
俺では、無理?
その悲しそうな顔を俺の好きな笑顔に変えることができるのは、裕哉しかいないのか?
「亜嵐。」
「ん?」
「…」
心が、体が渇く。
渇いているのに、欲望はとめどなく内側から溢れてくる。
欲も情も枯渇してほしいのに、渇きは欲として潤いを求める。
与えられるはずもない、望んではいけない潤いを。
少しだけ伸ばした右手が当てもなく浮いている。
もう少し伸ばせば届くのに、そのまま下ろした手は甲斐もなく空を切った。
「ほら書類。全部あるかちゃんと確認して。」
「ん、…大丈夫。サンキュ、凛也」
「あぁ…そういえばこの前貰ったダージリンが凄く美味しかったんだけど、淹れるか?」
「…うん。飲む!あったかいやつな!」
「了解。」
お前が求めるなら、俺は愛を幾らでも注ぐよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
81 / 217