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また明日
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◆
なんだかんだあって、
あの後もまた無言で駅までを歩いた。
さっきまでの饒舌はどこ行ったんだってくらいに仁科はずっと黙りこくっていたが。
(気まずい空気は苦手なんだよなぁ.....)
駅の入口を抜けると仁科は俺とは反対の方の改札へ向かおうとしている。
ここでお別れか。
「じゃ、じゃあ仁科、俺こっちだから....」
「あ、
待って、」
俺が改札を通ろうとしたところで何かを思い出したように駆け寄ってくる。
「なに....?」
「.....」
仁科のひんやりとした手が俺の頬へあてがわれ、
そのまま引き寄せられる。
「ん....」
唇と唇が一瞬だけ触れ合ってそのまま離れる。
待て、これはまずい。
「にし、な....今....」
顔をひくひくと引き攣りながら青い顔をする俺とは相反して、
頬まで赤く染めた仁科は、
今度はちゃんとした笑顔という"表情"を浮かべて、
「また明日」
そう言い残し足早に走り去っていった。
「っ.....」
一方の俺はその場にへたれ込み、
ただこの数分程度のあいだに起こった出来事を思い返し、
赤面するしかなかった。
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