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おはよう
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そうこうしていると、ガラと音を立てて教室のドアが開かれた。
そのまま敷居を跨ぎ、入ってきた人物は一斉にして皆の視線を釘付けにした。
「仁科....」
一瞬固まった教室がまたざわめきだす。
仁科はいつも通りの無表情で、
ただ一つ違うのは何故か俺の席へ近寄ってくるということ。
仁科が1歩踏み出す度、
クラスメイトが道を作るかのように彼を避ける。
そしてそのまま俺の席の前で立ち止まると、
相変わらずの無表情でじっと俺の方を見つめて
「綾瀬、おはよう」
告げられたのは小さな挨拶。
「あ、お、おは....よう....」
挨拶をされたら返すのは礼儀だし、
とりあえずこう返す。
仁科が先生以外の者に挨拶をする姿など見たことのない隣の堂島やクラスメイトは案の定ポカンとしていた。
俺は昨日の今日というのもあってあまり驚かなかったけど。
皆目が点の状態の中で仁科は何事もなかったかのように自分の席へ向かう。
「ちょ、え、ホントなんかあったんでしょ!みっきー!?!」
「いやだからなんもねぇって....」
堂島が騒ぐので仁科に聞こえないように小さく否定する。
ぎゃいのぎゃいの言っているが無視だ。
俺は教科書やノートを机の中から取り出し、
授業を受ける準備をしてから机に肘をつき、
ボーッと考える。
たぶん仁科が朝っぱらから俺に話しかけたのは昨日の"好きにさせる"が関係しているんだろう。
一応仁科なりのアプローチ...?なんだろうか。
別に健気だなとかそういう同情は一切湧かない。
断じて湧かない。
悶々としているうちに1時間目を知らせるチャイムの音が教室に響いた。
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