アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13
-
深谷を部屋に閉じ込めている夜間には、清掃などで俺たち以外の人がこの別荘に入るのだが、天馬は深谷と彼らを決して接触させようとはしなかった。
言われた通り玄関のドアを開けると、そこには紙袋が置かれており、中には細長い筒が入っていた。
紙袋を持って中へ戻ると、ビーフシチューを盛った皿をお盆に載せた深谷がキッチンから出てきた。首には窮屈そうな首輪が嵌められている。一瞬目が合い、此方を見て小さく口元に笑みを浮かべて見せた。いつもはキッチンで食事を摂るが今日は広間で摂るらしい。そのすぐ後ろを、天馬が続く。
入れ替わるようにキッチンに入り、包みを開封する。中に入っていたのは赤ワインだった。俺への土産、ということはないだろう。天馬はそんな可愛い奴じゃない。
「彰、グラス持ってきて。2つ。」
ワインを仕舞おうとしたら広間に居る天馬が声を上げた。深谷と2人で飲むつもりだろう。ワインボトルと、ワイングラス2つ、栓抜きと缶ビール1本持って広間に戻った。
深谷が広間のガラステーブルに配膳している目の前で天馬が深くソファに腰掛け、偉そうに足を組んでいた。先程まで俺が使っていた灰皿を手繰り寄せ、俺の煙草を我が物顔でふかしていた。その様子を、深谷が何か言いたげな顔で見つめていた。
天馬の伯父は大酒飲みだ。このワインも、伯父に持たされたものだろう。天馬はまだ高校生だが、付き合いで飲まざるを得なかった。
煙草を教えたのは、俺だ。
これくらいでしか鬱憤を晴らせる方法を知らない。だから俺には咎めることはできないし、するつもりもない。
「何?深谷。」
深谷の視線に気づいた天馬が煙草を咥えながら彼の方に顔を向けた。
「煙草、止めた方がいいと思う。」
いつも何かを言う時は自信なさげに言うくせに、物怖じせず真っ直ぐ天馬を見据えて言葉を発した。
「ああ、そうだね。」
天馬は何処か楽しげで、口元に笑みを浮かべて煙草を灰皿に押し付けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 126