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駆け落ちの始まり 2
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「な、んでここに...」
驚きと嬉しさで声が震える。風でカーテンがたなびいて、そこから窓に乗り上がって俺の前に現れた真琴さんはいつもよりかっこよく見えた。今すぐ抱きついてしまいたい...だけど...
「幸斗」
「真琴...さん...」
俺の名前をいつものトーンで呼ぶ真琴さん。この声が、聞きたかったんだ...さっき引っ込んだはずの涙がまた浮かんでくる。そんな俺を知ってか知らずか、真琴さんは微笑んだまま片手を俺に向かって差し出してきた。
「逃げるぞ」
その一言で堪えていた涙は溢れる。掴んだらいけないって、それくらい分かってる...だけど、走り出した体は止まらなかった。差し出された手を通り抜けて、思い切り真琴さんの体に抱きついた。
「うっ、お...あっぶね...幸斗、ここ2階だぞ...落ちるっ...て......幸斗?」
「ま...ことさ......っ...」
本物だ。本物の真琴さんだ。この温もりも戸惑った声も、差し出していた手を俺の頭の後ろに回して優しく叩くように撫でるその仕草も全部。
「何泣いてんだよ...?」
「ごめんなさい...ごめんなさい......っ...」
「何がだ?」
「俺っ...守ってもらってばっかで...追い出されるの...止める事すら...出来なくてっ...また...助けられっ」
涙を溢れさせながら真琴さんの顔を見て、途切れ途切れの声で必死に伝えようとした。だけど途中でその言葉は途切れさせられた。
...チュッ
「.........え...」
「悪い...時間がねぇ、話は後でな」
突然キスされて頭が真っ白になる俺をヒョイっと抱き上げる真琴さん。首に抱きつけ、そう言われて言われるがまま真琴さんの首元に両手を回した。
「よし、行くぞ!」
そう言って真琴さんは、俺を両手で抱き締めて2階から下へ向かって飛び降りた。
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