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その出来事の後、散歩するおじいさんとすれ違う度に挨拶を交わすようになった。
そのうち、挨拶だけではなくて他愛もない言葉を交わすようになり、時間に余裕のある時にはお菓子をいただきながら立ち話もした。
気づけば、遠縁の親戚達よりも、近くにいる親しい存在になっていた。
素性も名前も知らないのに、そんな風に感じるなんて不思議なものだけど、おじいさんとの時間は穏やかであたたかくて、俺にとっては大切なひとときだ。
だから、忘れるはずがない。
最近は御守りの事で頭がいっぱいで気にかける余裕もなかったけれど、思い出してみると、この二週間、おじいさんには会っていなかった。
男の話によると、この御守りは再びおじいさんによって拾われたらしかった。
今度会った時に俺に手渡そうと、大事に持ち歩いてくれていたそうだ。
しかし、急に心臓を悪くして入院を余儀なくされ、俺に会う事も御守りを返す事も出来ずに、ずっと気をもんでいたらしい。
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