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学校にて
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「たーかおかっ」
「んー?」
「カラオケ行こうぜ〜〜」
「田端は?」
「あいつこないだの現文のテストで分かんなかった事あるから〜って徹ちゃんとこ行っちゃった」
しくしく、なんて泣き前する旭。
「お前も少しは田端見習ったら?」
と言った俺の話を聞き終わる前に北村とクラスの女子にも声をかけ始める。そんな旭にため息が漏れる。
別に予定もないし、いいか、なんて放課後特有の教室のザワつきの中自分も帰る支度を始める。
カラオケに行くメンバーと昇降口まで向かっている時だった。
「高岡ー、ちょっといいかー?」
担任に声を掛けられてしまい足が止まる。
「わり、ちょっと先行ってて」
「おっけー!」
話は2、3分程で終わり自分も靴を履き外に出た時だった。
何メートルか先に人集りができている。その中に赤髪が見えたもんだから、旭ってすぐに分かるけど。あいつの周りに女子が集まんのなんていつもの事で。
そんな事より今日はもう一つ人集りが出来ている。
「?」
旭と北村が誰かと話している様子で、人集りと人集りが固まって門の周りは物凄く混雑していた。
何があったんだ?
そう思った所でなんとなく、
ああ、もしかしたら、なんて。
俺の口は勝手にニヤニヤする。
人集りに一瞬だけ隙間ができて、そこから見えたのは。
やっぱり、って。人集りの中でも一際目立つ美人が立っていて。
今日私服か。外にいるから当たり前だよな。アレ?あの人もうちょい小さくなかった?と、旭より少し背の高い彼を見る。
しばらく遠くから見ていれば旭は笑顔で何か喋っていて、北村は何故か頭を抱えている。
その人はスッと自分の財布から俺が忘れていった否、置いていった学生証を取り出して旭に渡そうとしていた。
「…へぇ、そういう事するんだ」
「あれ、お兄さん?」
「…………あ~、高岡さんの弟くん……この前はどうも~……」
「え、なになに?届けにきてくれたんすか?」
白々しくその人集りの中に割って入ってお兄さんに声を掛ければ心底驚いた顔をした後にうわぁ、とでも良いそうな顔で見てきた。
「お店とか入るときないとわりと困るでしょ~?ウチはそんなサービスしてないからさ、君が何でわざわざ学生証出しててカウンターに置き忘れてったのかはわかんないんだけどね~」
相変わらずゆるい口調でさり気なく嫌味を含めながら、はい、と俺に学生証を渡してくる。
「はは、たまたま出してて忘れちゃって。私服じゃないですか。オフですか?お礼にお茶でも奢らせてくださいよ」
「え、いや~、大丈夫だよ気を使わなくても~」
「いいから、ね?」
忘れたなんて嘘。勿論お兄さんも気付いてない訳がない。でも結果的に本当に届けに来てくれたんだからそれでよし、だろ?
「え、高岡、カラオケは?つーか、ずりいぞ」
「旭もお前もなんなの?てか、ずりいな」
ズルイってなんだよ。
「俺今日はパスで」
「あ、おい!高岡!?」
お兄さんの手首を取ってそのまま学校を出た。
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