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『出会いとは』
*
私がこれから住むマンション。
《マンション 曉(あかつき)館》
一人になりたいと誰よりも願い
やっと手に入れた短い時間。
だからこそ、ここで私は自分を…
「こんにちは、西彼杵様でしょうか?」
「え、あ…はい」
名前を呼ばれ振り向くとそこにはスキンヘッドのいかつい男性。
サングラスで目が合うことはない。
あまりの驚きに言葉が出ない。
「あ、突然申し訳ありません。マンション曉のコンシェルジュ、梶田と申します」
「あぁ、コンシェルジュの方でしたか。新入居の西彼杵 希偲です」
「間違えてなくて良かった。お荷物の方お手伝いさせていただきます」
彼はそう言うとダンボールを6つ乗せた荷台を軽々と押していく。
私はかばんを背負いなおして彼のあとについていった。
ここが運命を変える入口とも知らずに。
*
1階はなかなか広かった。
食堂があるらしいが荷物があるためダイニングホールがある右の扉ではなく左にあるエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターも広く最大人数が18人と書いてある。
私の部屋は4階らしい。
4階のボタンが押されオレンジ色に点灯してる。
「西彼杵様はSSをお断りしたと聞いておりますが」
「はい。人といるのはあまり得意ではないので」
会話はそこで途切れる。
彼は部屋の中までダンボールを運んでくれ颯爽と帰っていった。お茶ぐらいと言ったのだが
「一人暮らしの女性の部屋に長居はできませんから」
と言って帰ってしまった。ダンボールを開け元々設備されてる家具へと収納していく。
服、本、お気に入りのマグカップ、箸、皿。
たったそれだけ。そのせいか、片付けはすぐに終わってしまった。どうしようかと悩む。出かけようか?確かに、それはいいかもしれない。もし何かあった時にスーパーなど知っておいた方がいいだろう。
すると、ふいにチャイムが鳴った。カメラで外を見るとスーツを着た男性。肩にかかるかかからないかの黒髪、黒縁のめがね。不審者ではないと判断し玄関へと向かった。
これが最初の間違い。
差し伸べられた手に私に拒否権は与えられず。
これが最初の分岐点。
*
Fire.1 『出会いとは』
A.あなたのいない未来
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