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File.13
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【ネックレス(首輪) 指輪(永遠) ブレスレット(?)】
*
「あ、希偲ちゃんだ!」
「!!‥‥希偲さま‥‥っ」
福山と神谷の目に映ったのは今まで見たことのない幸せそうな希偲の笑顔。
なかなか人に対して優しくしない立花も楽しそうにしゃべっているようだった。
「潤」
「神谷さん、俺は希偲様にとって敵です。やっぱり俺は‥‥」
「バカ言うな、あの子のためにここまで来たんだろう?」
神谷はそう言うと福山の背中を軽く叩いた。
歩き出す足取りは重くなかなか進んでくれない。
けれども、胸を張って言わなければいけない。
自分が希偲のSSだと。
「あ、潤」
ふと、そう呼んだのは立花。
プライベートでも二人きりのときしか呼ばない名前。
横で希偲は楽しそうに笑っていた。
だが、次の瞬間表情が無くなった。
視線はこちらにあって、余計に自分のせいだと分かってしまう。
「立花くん、抜け駆け?希偲ちゃんと仲良くなっちゃってさ」
「いえ、そんなつもりは‥‥、って顔が恐いですよ。西彼杵様」
無意識だったのか希偲は意識をこちらに戻すとにっこり笑った。
福山は神谷の荷物を持ったまま黙っている。
湯気のたたないココアを口に含むと希偲はココアを飲み下して立ち上がった。
「そろそろ小野さんと日野さんと合流して帰りましょうか」
「ええ、そうしましょう」
立花が希偲の言葉に賛同して立ち上がるとタイミング良く小野と日野が来た。
「ちょうど帰ろうと言ってたとこなんです」
希偲がそう言うと日野は嬉しそうに微笑みながら頷いた。
6人は迎えを呼ぶとモールの入口まで歩いていった。
*
「お帰りなさい」
笑顔で迎え入れてくれたのは杉田だった。
中村は杉田の後ろで嫌そうな顔をして希偲たちの方を見る。
「杉田くん、悠一、あんげん!今からクリスマスパーティするよ!!」
神谷はそう言うと楽しそうに笑う。
3人はやれやれと各々動き出す。
きっと、神谷が言うとそれは決定なのだろう。
だが、それに強制的なものはなく神谷の人望が見て取れる。
「希偲ちゃん、その大荷物何?」
「え?‥‥あ、席についたら見せますね」
希偲と立花は顔を見合わせ楽しそうに笑うとこそこそと用意を始めた。
*
「メリークリスマス!」
神谷がそう言うと皆がグラスを合わせる。
様々な色の液体がゆっくりと揺れる。
「今月はパーティ月間ですね」
「まあね!あとは、忘年会と年越しパーティして来年は新年会と年明けパーティしようね」
神谷と杉田が楽しそうに話すのを小野と中村と安元が楽しそうに見ている。
買い物に参加しなかったメンバーもやって来てフロアは大騒ぎだ。
「神谷さん、クリスマスプレゼントです」
小野はそう言うと神谷に少し大きめの包みを渡した。
開けるとそこにはグレーの猫型クッションが入っており神谷はそれをとても嬉しそうに抱きしめた。
「僕からもプレゼント」
「え」
神谷からは手のひらサイズの小さな箱が渡される。
小野は驚いた後に顔をほころばせた。
「部屋に戻ってから開けてね」
「はい、もちろんです」
小野はそう言うと神谷の前に跪いた。
皆の視線が小野へと刺さる。
「神谷様。これからもあなたに仕えさせていただきますことどうかお許しください」
「‥‥今さら」
皆がまたガヤガヤとする中2人は部屋へと戻った。
その事を指摘するものは誰もおらずただ幸せそうな2人を見守るのだ。
そんな中希偲はこっそりと福山にプレゼントを渡した。
「よろしいのですか?」
「ええ。要らなければ捨ててください」
「いえ!大事にさせていただきます」
福山もとても嬉しそうにして大事に包みを開く。
すると、希偲の背後から立花が話しかけた。
「俺が勧めたから100%希偲の趣味じゃないけどデザインは100%希偲のセンスだ」
「しんのす‥‥って何で呼び捨てにしてらっしゃるのですか?」
「希偲が友人と言ってくれたからだ」
ドヤ顔で楽しそうに言うと立花はひらひらと手を振り日野のところへと戻ってしまった。
福山は少し不服そうな顔をしつつ包みを開ける。
そこに入っていたのはネックレスだった。ネックレスに通されているのはとてもシンプルな指輪だった。
「た、立花さんがネックレスは首輪の意味があると‥‥」
「‥‥希偲様」
「な、なんですか」
「ありがとうございます。一生大事に致します」
「い、一生?!」
福山はにっこりと笑顔でそう言い嬉しそうにグラスに口をつけた。
すると、突然後ろから引っ張られ誰かに腰に手を回された。
「福山さん、希偲借りていきます」
「鈴木様、希偲様は物じゃありませんよ」
2人が火花を散らしていると信長が希偲に話しかけた。
パーティだからか華やかなスーツ姿になっている。
「姐さんこれクリスマスプレゼントです。たつさんと俺とお揃いです」
「‥‥ありがとう」
ふんわりと笑う希偲に信長も同じように笑った。
*
「お前さ、あいつの正体分かってないだろ」
「何が?」
ダイニングホールを出たところで話す希偲と達央。
達央は腕組みをして深刻そうに話す。
「あの男はな‥‥」
「別に知らなくていいよ。何だろうと私と彼はSSと対象であってそれ以上でもそれ以下でもないし」
「お前な‥‥」
希偲は不敵に笑うと達央をの目をまっすぐと見る。
碧い瞳がまるで射抜くように。瞳どころか心臓まで。
短い時間のはずかのにあまりにも時間が長く感じて耳鳴りがする。
「それに彼が‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ってことは分かってる」
「そうか」
「別に興味も関心も何も無い。私が唯一関心があるのは自分自身だ」
「それはたから聞いてるとナルシストだぞ」
達央は自分の言葉の意味をわかって言っている。
希偲が自分自身にあるの【憎しみ】だけだと。
*
「私が探しているのは彼じゃない」
「私自身を殺してくれる人」
「無惨に私をぐちゃぐちゃに消してくれる人」
【私は廃都市の花】
「不必要なものなんだ。」
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