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File.24.5
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『死んでみて分かった事』
*
「孝行様、お客様です」
「通してくれ」
「近ちゃん‥‥、もう希偲は‥‥」
「ダメだよ。諦める暇なんてない。俺はあのとき‥‥」
近藤は目を細めて遠くを見た。
あの冷めた目には自分は映っていなかった。
何もかも忘れている彼女はもしかしたらもう自分たちが知っている彼女じゃないのかもしれない。
「‥‥大ちゃん、あの最後のとき希偲は」
「近ちゃん、Dおしゃべり混ぜてよ」
そこには希偲が立っていた。優しく笑う彼女はいつも通りで先ほどとは全く違う。いっそ真逆と言っていいほどに。
「‥‥希偲?」
「ごめんね、待たせちゃったね」
「うん」
そう言って、希偲は案内してくれた女中を薙刀の柄尻で殴った。女中は意識を失う。
あまりにも流れるような作業に小野は何も出来なかった。
目の前で何が起こったのかまったくわからないほどに。
「何して‥‥!」
「近ちゃん、D ごめんね」
二人に向かっていきながら希偲は変化を遂げる。
思い切り振りかざした薙刀は小野に止められた。
希偲は、再び冷たい目で二人を見た。
「近ちゃん、あのときの言葉覚えてる?」
「今でも夢に見るよ」
そう言って近藤も変化を遂げる。
そして、薙刀を振りかざした。その薙刀の柄は青に近い緑をしていた。
「だけど、きっと日野のほうが嘆いてる」
近藤はそう言って希偲に対して薙刀を振り下ろした。
だが、それは容易く受け止められ流された。
「希偲、何で‥‥?!」
「百鬼夜行を率いて先祖返りを殺したのは近ちゃんなの?」
希偲の涙が頬を伝って畳に落ちた。
薙刀を捨て去り近藤の襟首を掴む。勢いのあまりはだけた胸元。
見えたのは禍々しい黒い紋様たち。
「共食いの証だよね、これ」
「‥‥何で、近ちゃん」
小野が希偲を一歩下がらせると襟首を掴み、そして思いきり殴った。
切れた口の端から血が流れる。
「何考えてんだよ、お前‥‥」
「俺は‥‥」
近藤が何かを話そうとした瞬間全ての襖が倒された。
襖が倒れた大きな音が部屋中に響き渡る。
「希偲!」
そこには、福山を始め曉館のメンバー全員 鬼族の面々 森川や檜山 そして、鈴村と櫻井が立っていた。
「‥‥何してるの」
*
「死ねなかったから生きているのさ」
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