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放課後のチャイムが鳴り、
生徒らは一斉に寮へと帰る。
学生寮は学校と地下通路や渡り廊下で繋がっており、
また食堂ともつながっている。
つまりこの食堂は、
学校、寮とをつなぐターミナル的な施設なのだ。
特に新入生らにとっては、
高校生活が始まるとともに、
寮生活も始まるというわけである。
空と稔が教室を出ようとしたとき、
担任である類が二人をよびとめた。
「おまえら、今日の
委員会にでてきてくれない?」
「え?」
「え?」
「ごめんな、委員長と副委員長決めるの忘れてて。
今日さっそく委員会があるから行ってきて、頼む!」
「えっ、でも、そんな突然……。」
「大丈夫、委員長と言っても
全然仕事無いし、名ばかりだから。
だいたいのことは生徒会がするしね。」
「生徒会……。」
空は少し考え込んだ。
”委員会に行ったら会えるかな……”
空の頭に浮かんだのはあの茶髪でピアスをつけた
副会長の顔だ。
「空どうする?行くか?」
「うん、行こう!」
「……分かった。」
二人は類に一礼して委員会の場所へと向かった。
二人が着いたのは生徒会議室。
この委員会は年に一回、つまり
この入学式の日にしかない。
名ばかりの役職というのは本当にらしい。
二人は決められた席に座った。
しばらくして生徒会議室の扉がひらかれ、
入学式にて濃厚なキスを見せた二人が登場する。
「よー、諸君。おつかれおつかれ~!」
「……。」
元気よく入ってきた俺様感漂う会長・織田陸と
入学式同様、不機嫌そうに黙っている、
副会長・織田海。
会議の内容は簡単な自己紹介である。
淡々と三年生から順にクラスの委員長、副会長が
自己紹介をしていく。
次は一年生の紹介となり、
空がそのトップバッターで自己紹介をしていく。
「新田空です、よろしく…」
”お願いします”と言おうとしたとき、
冷たい声が教室内を支配した。
「自己紹介とかなげぇんだよ。」
海はそう言って立ち上がり、
会議室から出ていった。
呆然とする生徒らをよそに、陸は特に変わらない様子で
「まぁあいつにはよくあることだから、
みんな気にすんな!はい、つぎつぎ!」と、
そのまま自己紹介を進めた。
”俺が言った瞬間に出て行った……。
単なる偶然だよな……?”
空は、海が出て行ったことに対して
妙に寂しく思っている自分がいることに
不思議な気持ちになっていた。
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