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そして空は自分の部屋番号を
海に教えた。
海は空を部屋まで送ってくれたが、
時間がたつのがはやかったらしく、
寮の廊下には誰もいなかった。
きっと皆食堂に行っているのだろう。
海はこの間、不良モードであったが、
素を知った空には怖くなくなっていた。
「それじゃぁ海さん、ありがとうございました。
おやすみなさい!」
海は何も言わず、空に背を向けた。
そして小さな声で
”じゃあね、空くん。おやすみ”と言った。
空にとって松崎宮之原第三高校の初日は
驚きの連続だったが、結果良い一日になった。
空はベッドにもぐりこみ、
放課後のことを思い出す。
”恋人じゃない。
家族愛みたいなものだ。”
この言葉が脳裏をかすめる。
海の様子からこの言葉がウソではない
ことを、空は直感でわかった。
だが、陸はどうだろう。
おそらく陸は海のことを……。
そんなことが頭の中をぐるぐるしているうちに
空は深い眠りについた。
それからの学校生活は順調にスタートした。
クラスのリーダー役の蓮のおかげで
空はすぐにクラスの皆と話せることができた。
そしていつしか空の部屋には
稔か蓮が、または両方が常にいるような状態で、
絆をより深めていた。
そんなある日の朝、
空は自室のドアがノックされる音で
目が覚めた。
時計を見ると、まだ六時である。
こんな朝っぱらから誰だろうと思い、
空はゆっくりとドアを開けた。
「誰で……っえぇっ!!」
ドアを開けると、
目の前に立っていたのは
私服姿の海だった。
「おはよ。休日だからって
九時とかに起きてちゃだめだよ?」
海のキラキラした笑顔が
空を直撃する。
空は動揺して、海の手をひっぱり、
部屋の中に入れた。
そしてちょっとだけポカンとしつつも
ニコニコしている海の口に
焦点があたる。
海のほうが背が高いため、
見上げる形になる。
「そら…くん…?」
さすがにこの間に不思議になったのか、
海が空の名を口にする。
空は我に返り、この状況に対して、
質問した。
「ど、どうしてこんな朝から?!」
「だって、僕が空くんの部屋に
入るところを見られちゃったら
色々とマズイでしょ?」
"あっ、そうか……。
陸さんと海さんは恋人ってことに
なってるんだもんな。"
空は海の言葉に納得し、
先日の話の続きをすべく
質問する。
「あの、この前の
話の続きなんですけどなぜ
恋人のフリをするんですか??」
海の顔が真面目になり、
空は息を呑む。
「まぁ、至極、簡単な話ではあるんだ。
僕達は君らが入学する前の
会長副会長、つまり、
Mr.松三選挙で晴れて当選したんだ。
てことは、次年度の
松三の運が僕達が縁起キスを
するかどうかにかかってるってこと。
だから、あの縁起キスはまぁ
事務的なもので、恋人っていうのは
そのキスの正当化にすぎないんだ。
キス自体は子どものときから
してるし今さらだよ。」
そう、要は陸と海は学校全体のことを
考えて恋人"役"をしているということに
なる。
確かに生徒会としてはすばらしい
心意気だが、二人が子どものときから
キスを普通にしていることに、
空はただならぬ違和感を覚えた。
俺は感謝感激しつつも、
どこかやるせなかった。
海は更に続けた。
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