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陸と海の声は双子だからかすごく似ている。
いや、同じといっても過言ではない。
それでもこの声は海のものだと、
空は直感でわかった。
空は腰の痛みなど忘れて
即座に立ち上がり、
一直線にドアへと向かった。
そして空はドアを開けた。
そこには空がいることにホッとし、
相変わらずの笑顔を浮かべる
海が立っていた。
「体調だいじょうぶ?ごめんね、
具合悪い時に来ちゃって。
昨日、街のほうに行ってたから
そのお土産を渡しに来たんだ。」
海の手を見ると、たくさんの
買い物袋がぶらさがっている。
「と、とりあえず中に入って
ゆっくりしていってください!」
そうして空は慌ただしく、海を
部屋へと招き入れた。
「これは二時間並んだチーズケーキ。
それで、これは開店一時間前から待った
バウムクーヘン!それとね……。」
海の持っていた袋から有名店の
スイーツなどが絶え間なく出てくる。
ホテルのスイーツバイキングのようだ。
「あの……俺、一人じゃこんなに
食べれないと思うので、その…。
海さんと一緒に食べたいです……!」
空が照れながら海に空とフォークを渡す。
「あ……、うん!そうだね!
……実は僕も空くんと食べたかったから…。」
海も照れながら空から皿とフォークを
受け取る。
お互いに若干ぎこちないまま、
ケーキやタルトを皿に盛る。
朝から甘いものを食べるのかと思うかも
しれないが、二人にとっては
これが一応朝食となる。
空がケーキを口に入れたのを見て、
海もケーキを口に運ぶ。
「空くん!これおいしいね!
……そらくん?!」
海が空のほうを見ると、
空のほほを一筋の涙が伝っていた。
ケーキを食べたとき、空は思い出してしまった。
あの薬のアマい味とケーキの味を
重ねてしまったのだ。
海と会えたことで忘れていた記憶が、蘇る。
「だっ、大丈夫?!おいしくなかった?!
具合悪い時に来ちゃったのが駄目だったかな……。」
海が悲しそうな顔をする。
「ちがうんです…。っ…俺、海さんに
会わせる…っ、顔なんてない…のにっ…
海さんに会えて…本当に嬉し…っ」
言葉と涙が空から一気にあふれ出る。
「……空くん。」
チュ……
空の濡れたほほに海の唇が触れる。
涙をぬぐうように、あちこちと
キスをする。
そして空は海に抱きしめられた。
「落ち着いた?これね、昔僕が泣いてたら、
よく陸が……」
空はその先の言葉を聞きたくなくて、
もっと海に触れたいと思って、
海をベッドに押し倒した。
そして海の唇に自分の唇を押し当てた。
「俺、海さんのことが好きです……!」
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