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三人は体育倉庫を出ることにした。
空が戸に手をかけた瞬間、
逆側から戸が一気に開けられた。
「空くん、だいじょ、う、ぶ……」
それは海だった。
海は稔と蓮を見て、険しい顔になる。
「君たち、空くんに何かしたの?」
口調は穏やかだが、不良モードとは別の、
むしろ不良モードのときよりも
恐ろしいオーラを漂わせている。
稔と蓮は答えようとしたが、その威圧により
口ごもってしまった。
空は仲をとりもとうとし、
笑って空気を和ませることを試みる。
「海さん、なんでここに?!
い、いやぁ~偶然ですねぇ、あはは…」
”いや、我ながら誤魔化すの下手くそだな…!”
空は心の中で自分にツッコんだ。
すると海が空の手を引っ張り、
体をグイッとよせる。
そして顔を強引に上げて、ディープキスをした。
「んっ、く、ぅ……はぁっ、ちょ、海さん!」
海は空にニコッと笑顔を見せる。
ただその笑顔は、空に、
しゃべるなと言っているようなものだった。
そして海は稔と蓮に怒りを込めた顔を向ける。
「お前らは大切にしてきた
空くんとのいろんな絆を自ら
壊すのか?
他人に本当の気持ちを見抜かれ、
そそのかされて、それで
大切な人を傷つけるのか?
君たちの、空くんを思う気持ちは
他人によって簡単に壊れる、
そんなもろいものだったのか?
そんな心の持ち主に、
大切な人を守る強さなんて、無い。」
海の言葉に、三人はうつむいた。
稔と蓮は改めて自分たちがしたことの
重さを痛感したようだった。
しかし、空は”違う”と思った。
何が違うのか、はっきりとした言葉には
できなかったけれど、海に
何かを言わずにはいられなかった。
「海さん…。俺の”友達”に、
そんなこと言わないでください…!!」
空の言葉に海、稔、蓮がキョトンとする。
「誰かを守るのに、
強さなんて必要無いです…!
稔と蓮は俺のために、
自らの心を犠牲にしてまで
俺を守ろうとしてくれました。
それは結果的に第三者に利用され、
俺もまた傷つけられました。
でも、俺はこいつらを許します。
傷つけあってもその人を恨まず、
許し合うことが本当の”心の強さ”。
俺みたいなひよっこが言うのもなんですが、
俺はどんなことがあっても
こいつらとは親友でいたいんです。
第一、俺のことをここまで
思ってくれる友達なんて、他にいませんから…。
だから……お願いします、
稔と蓮を許してください!」
”まったく……かなわないな…。”
海は稔と蓮の肩に手を置いた。
「僕も君たちを許すよ。」
そして二人に笑顔を向けた。
稔と蓮、海、そして空の四人は
顔を見合わせ、笑った。
「一つ目の問題は、蔵本エースですね。」と、
稔が腕組みをしながらつぶやく。
海はクスッと笑い答えた。
「大丈夫、エースは”あの人”に
任せてるから……!」
二時間目の授業がすでに始まっている校舎の廊下を
鼻歌を歌いながら金髪の少年が歩く。
エースのクラスは隣のクラスとの合同で、
幸運にも移動教室となっているため誰かに姿を
見られることはない。
エースはサボり等は好まないが、
陸の命令なら致し方ないと思っていた。
「計画うまくいったかな~、
ま、あの二人の様子からして間違いなく
空くんヤっちゃったよね。」
”計画”の成功を確信し、ますます上機嫌になる。
しかし、早朝から稔らと話していたため、
少し眠い。エースは次の授業まで寝ようと、
誰もいない教室へと入った。
「……!」
誰もいないはずなのに、見覚えのある
人影が目に入る。
「よぉ……。」
その人影がゆっくりと動き、
エースに近づく。
エースはギリッと唇を噛みしめる。
「……蔵本…先生……。」
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