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「海ー!ただいまー!
ディナー食べに行こうぜっ!」
陸の陽気な声が聞こえ、海はドアを開けた。
「おかえり、陸。
なんかテンション高いみたいだけど何かあった?
今日裏口に警察が来てたみたいだったけど……。」
「んー?まぁ気にすんな!
悪党を一人、バシッと捕まえたのさ!!
いやー、気持ちいいもんだぜ!」
陸が満面の笑みを浮かべて
海にピースサインをする。
すると、海が陸の頭の上に手を添えた。
「陸、えらいね。
昔からそうだったよね。
双子だーっていじめてきた人たち
いたよね。結局おとなしい方の僕を
標的にする人が多かったけど、
それもみんな陸が解決してくれたもんね。」
陸は顔を赤くしてうつむいた。
海はにんまりと笑った。
「あれ?もしかして照れてる??」
「べっ、別に照れてねぇよ!
頭わいてんじゃねーの!」
「やっぱり照れてるー!」
「うっせ!」
陸は海に背を向けた。
海はニコニコしながら、
陸の背中に手をピタッとくっつけた。
「陸、僕たち、
いつまでも仲のいい双子でいようね。」
その言葉に陸はハッとなる。
心の中で何かがぐらぐらと揺れるような
錯覚を覚える。
”海は見透かしている?”
”ソンナコトハナイ イヤ絶対チガウ”
”このまま何もしなければ……。”
”何カシナイト”
”嫌だ、もう誰も傷つけたくない…!”
”チガウヨ、
傷ツケテルンジャナイ
タダ海を守っているダケナンダ”
「陸……?」
海が心配そうに陸の名を呼ぶ。
陸はチラッと海を見た後、
小さく笑った。
「ははっ、ボケるにゃ早いっての。
そんな顔すんな。」
陸はふりかえり、
自分の背中に伸ばされていた海の腕を
握り、すぐに離した。
「今日は一緒に食堂へ行こう。
俺、明日から2日間くらい外出るから
お前と飯が食えねぇ。
……今日は俺が奢るから。」
そう言って、陸は再び
海の手を握り、優しくひっぱった。
陸が笑ったとき、
海は"まただ"と思った。
悲しそうな笑顔で自分を見る陸を
どこか懐かしいと思っていた。
しかし、どうしてそれが懐かしいと
感じたのかはわからない。
ただ、自分の手をひく陸の力が
いつもより弱く、それもまた懐かしいと思った。
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