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翌早朝、海は陸を見送るため
陸の部屋に来ていた。
「いってらっしゃいのチューしろよ」
陸はそう言って自分のほほを指さす。
海は「もう、この甘えんぼ」と言いつつ、
軽くキスをした。
「それにしても何しに行くの?」
海が尋ねると、陸は口角を上げながら答えた。
「男の秘密だ。」
「なにそれ!」
海が半ばあきれつつも笑いながら答える。
陸はクルッと背を向け歩き出した。
「それがロマンスだよ。
じゃあ、……行ってきます。」
海は素直に”いってらっしゃい”と言えなかった。
陸の雰囲気がいつもと違うからだ。
”陸、なんでそんなに寂しそうなの……?”
「陸、気を付けてね!
無事に帰ってきてね……!!」
海は陸に言葉をかける。
それをうまくキャッチするように
陸は振り返ることなく右手で
グーサインを出した。
”もう後には戻れない。”
誰もいない早朝の寮の廊下を、
陸は静かに、
一歩一歩確実に歩いて行った。
「ふあぁぁぁ……。あーおなか減ったなぁ……。」
ムクッとエースが起き上がる。
6年ぶりの快感を得た昨夜、
結局ご飯を食べずにそのまま眠ってしまったのだ。
隣には静かに寝息をたてる、愛しい人がいる。
日頃の仕事の疲れもあってか、類はぐっすり眠っていた。
”類にぃ、今日が休日で良かったね。
あ、きっと起きたら、「お腹減った」って
言うだろうなぁ…。
起こさないようにそっと行かなきゃ。”
そう思い、エースはゆっくりと
ベッドから抜け出し、簡単に服を着て
食堂へと向かった。
すると道中でエースは見覚えのある人影を見つけた。
その人もエースに気付いたらしく手をあげた。
「おはようございます、会長。お出かけですか?」
「おはよう。うん、ちょっと用事で
今から外に行ってくるんだ。」
「そうですか……。」
「あぁ、そうだ。これ、エースに
渡そうと思って持ってたんだった。ほら」
エースは陸から”鍵”を渡された。
「これ、どこの……。」
「それは合いカ……、
おっといけねぇ、時間がねぇや…。」
陸は腕時計を見ながら、言いかけた言葉を
飲み込んだ。陸は”じゃ”と言って
その場から二、三歩歩いたが、
ふりかえり、エースに話しかけた。
「エース、先生とはその後どうだ?」
エースはビックリしつつも、はにかんだ。
「はい、……順調、です。」
そっか、と陸は微笑んだ。
そして満面の笑みでエースに話した。
「これからはちゃんと仲良くしろよ。
人は、変われるんだから……。」
「……はっ、はい!」
そう言って、陸は行ってしまった。
エースはその時の陸がやけに寂しそうに見えて、
なんだか”小さく”見えた。
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