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海はハッと目を覚ました。
どうやら夢を見ていたらしい。
「懐かしい夢だったな…。
あれ…僕、泣いてたのかな…。」
かけられた毛布の上に、
液体が落ちたような跡がある。
窓から差しこむ数本の光が、
朝がまた巡ってきたことを知らせていた。
その数本の光のうちの一本が、
ベッドで寝ている陸の顔を照らす。
何かが反射して、
真珠のようにチラチラと輝いていた。
「陸も…泣いてたのかな…。」
その真珠は涙だった。
陸は目を閉じたまま、静かに涙を流していた。
「陸…おはよう。」
海は優しく陸に声をかけた。
すると陸はゆっくりと目を開け、
ムクリと起き上がった。
「かい……?おはよう…。」
「おはよ。ね、お腹減った。朝ごはん食べよ?」
「……うん、わかった!」
陸が笑って答えた。
海はその笑顔にたいして素直に安堵する。
「食べ終わったら……僕をまたたくさん抱いて。
僕は全部受けとめるから…。」
陸はピタッと動きを止めた。そして今にも
泣きそうな顔でわかった、と答えた。
陸は部屋から出ていき、鍵を閉めた。
……ほんとに泣き虫な兄弟だなぁ……。
海は壁に、陸はドアにもたれかかり
また、泣いた。
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