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「………っ」
首に激痛が走り、そのあとすぐに身体がばきばきと悲鳴を上げた。手を動かすことができないのは頭上でひとまとめにされているからだと理解するのにそう時間はかからない。けれど塞がれた唇が思考に邪魔をする。
「っ…ん、ン」
ぷは、と離れる。唾液が顎を伝うのに、目の前に広がる非日常が理解できない僕はただぼんやりとしていた。
「唇、ぷにぷに。超きもちい」
「早速味見してんなよ…おはよ、伊吹くん」
おはよ、おはよー、と、次々に声がかかる。
全員、知らない人なのに。ずきずきと頭が痛んで、それを庇うことすらもできない。
図書室に入ったあとからの記憶が無い。
僕は一体何を。
「ぼーっとしてる。かわいー」
「近くで見るとますます女の子みたいだな」
「肌とか真っ白だし、俺らと違って目ぇでかいし」
ドッとその場が盛り上がる。
「変態かよ!」
―・・そうだ。僕は夕に会いに来たんだ。
「夕は…」
やっと絞り出せた、その言葉はあっけなく転がった。
太腿の上に跨っている男が、
「ゆう?」
と聞く。
「夕ってなんだよ」
「アイツじゃね?雛森」
「あーあの外国人か。そんなやつもいたっけ?」
「そういえば最近めっきり話聞かないな。昔はすごかったけど」
「抱いてほしーって、な」
「やめろよ気持ち悪い。俺アイツ嫌いだし」
「オンナ取られたからだろ」
「うっせー死ね」
「めちゃくちゃイケメンっていうのは確かなんだけどな」
僕の目の前で、僕の知らない人たちが、僕の知らない話で盛り上がる。そんな時、急に後ろから髪を引っ張られた。
まじまじと見つめるその男は、あっと声を上げる。
「こいつ、雛森とよく一緒にいるヤツだ」
違う方向から顎を引き寄せられて、
「あいつと仲いいんだ?」
耳許で囁かれる。
さらりと剥き出しの胸板を撫でられて、身体が硬直する。
「やっ…」
じっと、たくさんの暗い目が僕を見つめていた。顎を掬う男が目尻を下げ、呟く。
「……なるほどね」
その瞳と目が合った瞬間、今更湧き上がった強い恐怖心に、体がカタカタと震え出した。
同じ瞳だった。
『逃げないで。怖いことはしないから……僕は君を、愛してるんだ』
―――逃げなきゃダメだ
そう思うのに、身体が動かない。
「…震えてる。怖い?」
ジジ、とジッパーの下がる音が聞こえる。
「あ……やめ…」
「やっと状況が分かったみたいだな。…優しくしてあげるから、静かに、ね、」
「んン…!」
跨った男の手のひらが口を塞いで、その上にそっと、優しく口づけられる。
状況に似合わないその行動に、狂気の色が見えた。ひゅ、と、塞がれた口から悲鳴が漏れる。縛られた腕をバタつかせるけれど、伸びてきた手に手首を掴まれ簡単に阻止されてしまう。
「……っ!」
新たにソファに乗り上げてきた別の男がいとも簡単にスラックスを剥ぎ取る。
低い声が囁いた。
「可哀想に」
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