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「だいぶ人が捌けたね」
夕は僕が口にしていたペットボトルを奪いながら言う。
「閉館が近いからかなあ」
「ああ、もうそんな時間なんだ」
「誰のせいだよ」
「いやあ…誰かさんがベッドの上でもっともっとって強請るから…」
「っ…も、ばか」
先を歩いていた夕が くる、と踵を返す。
いつの間にか僕達は、あの大きな水槽の前まで戻ってきていた。
そういえば今日は何回馬鹿と言ったかなあなんて考えながら、何故かバッグをあさる夕を見つめる。
「夕?」
「あげる」
そう言って夕が差し出したのは先程僕から奪ったペットボトルではなく、イルカのストラップだった。
「え?でも…これ…お土産じゃ」
「…そ。朝陽に、お土産。」
「えっ、…」
「俺が朝陽にあげたいと思ったんだ。…だめかな?」
ハの字になった眉毛と、チワワみたいな瞳を輝かせながらグイグイとストラップを押し付けてくる力は強い。
僕と夕の間で揺れて光るイルカに仕方ないなあ、と肩を竦めた。
嬉しいなんて、なんだか悔しいから言わない。…たぶん。
「ん、…ありがとう」
「どういたしまして。俺と朝陽、お揃いだよ」
そう言って満足そうに笑う夕の左手には、ゆらゆらと気持ち良さそうに泳ぐブルーのイルカ。
「でも、僕がピンクなんだね」
「それは朝陽が女役だかひゃ…、…いひゃい」
「馬鹿」
「はは、冗談だって」
頬を抓っていた僕の右手を優しく持ち上げる夕。
そのまま指と指の間、爪の付け根を撫でられれば自然と声が出てしまいそうになって、たまらない。
「…ん、」
「印が欲しいなって、思ったんだ」
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