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ブルーマンデー
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「疲れた顔してんな」
「え、そうかな」
「10人中1人がひぃの顔みたらそう言うと思う」
「…それシンだけじゃん!」
「ハハ、バレたか。いつも通り綺麗な顔してるよ、ひぃは。」
重く痛む腰を抑えながら食堂の椅子に腰掛けたのがちょうど2分前。
月曜日の食堂に集まる生徒の顔は皆それぞれに憂鬱そうで、それでも楽しそうにくるくると瞳が回っている。
「あれ、…雛森はどうしたの」
「あー、夕はご飯取ってきてくれるって」
「なに、パシらせてるんだ?」
「うん」
「雛森をパシれるのはひぃだけだね」
そう笑いながらトレーを置いたのは、唯一僕と夕の関係を打ち明けたクラスメイト、あるいは元ルームメイトの赤城慎一。昨日の今日でなんだか気まずい僕に、朝から爽やかな笑顔をふりまいている。…眩しい。
トレーをのぞき込む。今日の朝ごはんは和食らしい。ふっくらつややかな塩鮭をメインに、ワカメのお味噌汁、ほうれん草のおひたし、出し巻き卵に、真っ白なご飯。
「美味しそ…んぅ」
よだれを垂らす勢いで塩鮭を見つめる僕の口にお新香を突っ込む赤城は、急に真面目な顔をして言った。それは低い、男の声で。
「…昨日電話に出なかったね、なんでか教えて?」
「あ…」
昔、赤城とルームメイトだった頃起こった“いざこざ”が原因で、赤城は僕が電話に反応しないことを極端に嫌う。
それは十分分かっていることだったし、心配…トラウマに起因するその感情はよく僕にも理解できるものだから、悪いことをしてしまったと心底思う。
夕がラグに放った携帯から流れていた着信音は、赤城からの電話を示すものだった。
「ごめん…その、電源が…切れてて」
「…そっか。じゃあしょうがないね……ってか雛森遅くない?」
パッと元の笑顔に戻ったことに安堵しながら、あたりを見渡す。
ラッシュにハマってしまったのだろうか。いつもはそうならないように早く来ていたけれど、…今日は鈍痛でそうもいかなかったのだ。
「パシったのが周りにバレたら大変なことになるんじゃないの?」
「うん、今それちょっと思ってた」
前に、夕が何らかの形でまわりを牽制してくれたらしく最近目立ったいじめは特に無いものの、いまだに教科書を全て寮に持ち帰っている僕は苦笑した。
―・・青い瞳。
普段アッシュブラウンに隠された髪色はどこまでも明るく、柔らかな白色に近い金色。
半分西洋の血を引く夕の鼻梁はスッと通っていて、肌も白い。
ため息を吐き出すように赤城は言う。
「まぁ…あの容姿とそれに似合う学力だもんなあ…カリスマっていぶほぁ」
「…夕!」
「……また赤城…?…朝陽、ごめん。遅くなった」
「った…脛を蹴るなよ!」
「ごめん、ゴミかと思って」
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