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「そういえば、来週から期末考査じゃない?」
夕の右隣から身を乗り出してそう言ったのは赤城で、それに応えるようにお味噌汁を軽く啜ったのは斎藤だった。
「…それ、とうに終わった話題やな」
「えっそうなの」
「まあええけど。そこの赤いのはおいといて、雛森は相変わらず余裕なんやろ?」
「…赤いのって俺か?」
「お前しかおらんやろ」
夕は僕のお新香を盗みながらご飯を咀嚼する。数回口を動かしてから喉を動かすと言った。
「当たり前」
「うわ、自信マンマンか。…さすがやなぁ〜」
「俺、雛森は頭おかしいんじゃないかって時々思うことがあるよ」
「シ、…赤城、古典はすごくできるのに他はまるで駄目だもんね」
「タイムスリップでもしてきたんじゃない?」
僕と夕が笑いながら話しているとごちそうさま、と小さく聞こえた挨拶。それからガタンという音。
「ひらめいた!」
赤城に両肩を掴まれ、ぐらぐらと揺さぶられたかと思えば、夕が脇腹を抓ったらしい。
「いてっ、すぐ暴力ふるうのはやめろよ」
「いいから朝陽から離れて。…で、何?またどこか蹴ってほしいの?脛?」
「違います!」
「………で、何ひらめいたんか教えーや」
おう、そうだったと赤城は拳を握る。
「勉強会をしよう!」
「……は」
「お、おう…」
「なんだよ、皆引くなよ!俺は古典の神だろ?で、斎藤は…なんか、まあ…んー…よくわかんないけど。それぞれの得意科目を教えあえばいいと思わない?」
「…それ、もちろん朝陽と俺は対象外なんだよね?」
「まっさか!全般において神である君達に不参加は許されませんよ!」
「…たしかに、赤城にしちゃ〜ええ案かもなあ。俺古典自信無いし、ついでに数学も教わりたいわ」
「ね!ひ…伊吹は?参加するよな?」
「僕は別に、構わないけど…」
「あさ、」
「ほら雛森、伊吹は参加するんだぞ〜」
「堪忍せぇや〜」
「………厭」
「しぶといな……あ。…サイトー、お茶のおかわり取ってきて」
「なんで俺がいかなあかんねん…しゃーないな」
文句を言いつつも面倒見のいい斎藤は立ち上がって、カウンターの方へ歩いて行く。
…二口と付けていない僕の湯飲みには、なみなみとつがれた緑茶が揺れているのだけれど。
―・・秘密の話をするように、僕と夕との小さな隙間に割り込んだ赤城はそっと囁いた。
主に夕に、言い聞かせるようにして。
「………参加してくれないなら、雛森の携帯の壁紙のこと…皆にバラしちゃうよ?」
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