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「…っ、」
床を滑るのは手元から落下したらしい、小さな携帯端末。
ギクシャクとした動きでそれを拾いあげる少年のネクタイは僕と夕、同じ学年を示す色。
息をすることも忘れ、…やけにゆっくりと行われたかのように見えた一連の行為を反芻していた僕の意識は再び腰を使い始めた夕によって呼び戻される。
「ああぁ…っ、だめっ…夕っ…」
パンパンと肉がぶつかるいやらしい音にハッと口元を抑え、仰け反る僕に夕が微笑をもらした。
楽しんでいるようにも見える腰使いは今日1番激しく、抉るようなそれで。
それでも視線をそらせないまま夕に跨り喘ぐ僕を、ただただ驚愕を浮かべた表情で見つめる彼の目は丸く。
「っん、あ、…夕っ…ゆうっ…」
なおいっそう激しく、ねちこっく続く律動に肩を叩けば、夕はふっとそれを止め…人差し指を唇に押し当てた。
それはそれは、王子然とした優美な笑みを浮かべながら。
「……っあ、」
背中でも叩かれたように必死にこくこくと頷いて、それから響くのはバタバタと忙しない音。
その背中を目で追う。
瞬間強引に顎を摘ままれ、唇が触れ合った。
「は、ぅ…っ、」
思い切り鋭くした視線にも、夕は俯いて笑うだけ。
被害を被るのは僕なんですが。
「ばかばかっ、どうして、あんな…」
「どうせ体を繋げてたんだから、動いても動かなくても一緒だろ」
「一緒じゃな…ふぁっ…」
「朝陽のなか、すごく熱くて蠢いてる。食いちぎられそう………もしかして、見られて興奮したの?」
「ちがっ…もう…っ、夕のばかぁっ…」
「は…馬鹿ってもう、…可愛いなあ」
「っぁ…ああ…」
「っ…朝陽…」
絶頂を2人で飲み込み、咀嚼しあおうと唇を重ねる。
いつの間にかそこに先程までのどうしようもない羞恥、怒りは吸い込まれていく。
「…ん、ぁ…ん―・・!」
透明な悲鳴は全て、夕の喉奥深くに消えていった。
「…帰省?」
放課後までの僅かな時間を潰すために忍び込んだ中庭にはゆったりとした時間が流れていて、気持ちがいい。
下半身から力という力が抜き取られた、そんなような痛みが走る脚でベンチを目指す足取りは酷くゆっくりだ。
「うん。まあ日帰りなんだけどね…」
青色の絵の具を水に溶かしたような、淡いブルーの空に僕はその足を止めた。
「…?」
語尾をぼかし、珍しく僕の前で携帯をいじる姿ですら様になっている。
その長い影を踏む。
ピンクのイルカは相変わらず気持ち良さそうに泳いでいて、少しいいな なんて思ってしまう。
水族館での夕の不安とは裏腹に、最早閉じ込める、閉じ込められた、そんな関係を飛び越えた境地に僕らが君臨していることを象徴しているそれはきらきらと輝いて、眩しかった。
そんな視線に気がついたのか、夕は弾かれたように頭をあげると眉を下げ笑う。
「ごめん。お母様からのメールがしつこくて」
「何かあったの?」
「うーん…まあ…そのことでね。ただ日曜に帰って来いとしか言わないから、面倒くさいから嫌だと言ったらこうやってメールが…」
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