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後処理を終えて冷蔵庫からウィルキンソンを取り出す。
しかし少し胃に落としただけで、それ以上は口をつけず全て流してしまった。
ステンレスの鈍色に泡が伝うのをじっと見届けてから、確かな足取りで恋人が眠るベッドへと向かう。
その碧眼に光は無い。
ふいに空気が振動するのを感じて、すぐそばに落ちていた携帯を拾い上げ耳に当てた。
微かな眠りを阻害しないよう声を低くして応える。
「はい」
玄関を開けて、ああ、やっぱりなと思った。
いつもは自分との関係に絶対の自信を持っている朝陽が泣きそうな目をして抱きついてくるのだ。
おそらく帰宅する途中すれ違った同級生が原因だろう。
たまたま見かけたので遠回しに牽制をしておいたつもりだったが、あの調子では何か接触があったに違いない。
厭な予感がした。
芽は早いうちに摘んでおいたほうがいい。いっそあの教師のように家族、親戚共々潰しておこうか。
そんなことをちらと考えたが、やめた。
寂しかった、と。
擦り寄ってこくこくと頷く朝陽が堪らなく可愛くて仕方がなかった。あそこが玄関先ではなく、柔らかなベッドの上だったら確実に押し倒して、意識を失うほど蹂躙しまくっていただろう。
実際その場で押し倒したが。
切れた唇の端に触れる。
乾いた血に心の中で舌打ちをして、再び端末から聞こえる声に意識を向けた。
「明日…またそっちに行くから」
「じゃあね、おやすみ……アリサ」
滑り落ちる髪の毛を耳にかける。
肌理の細かい頬にキスを落として目を閉じた。
「…月曜日なんて、来なければいいのに」
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