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リンケージ
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期末考査は無事全ての教科が終了した。
1番驚いたのは斎藤だった。夕のスパルタ教育が功を奏したのか、数学が納得のいく出来だったらしい。採点されていないのにも関わらず、早くも市川先生に「宣戦布告」をしていたのだから。
これで赤点をとったらその時は一生準備室から出られないんじゃないだろうか…。
僕もなんとか実力を出し切れたと思う。身体はふらふらだったけれど。
「すごい雨だ…」
僕以外誰もいない部屋で、透明なグラスにサイダーを注ぐ。
日に日に険しくなっていく夕の表情。
あれから夕は毎日外へ出るようになった。
何をしているのかはわからない。午前中で放課になることを利用して、帰寮するなり僕を押し倒し気の済むまで身体を重ねてから外へ出ていく。そんな生活がテスト期間中ずっと続いた。
今日は金曜日。
テスト最終日くらい、2人でゆっくり過ごしたかったのにな…
携帯が震えたのは、僕がそんな溜息をついた時だった。
「わっ…」
突然のことに震えた身体が机に振動を生む。そのはずみでグラスを倒してしまった。
先程注いだばかりのサイダーが机上にひろがる。
「うっ、ぁ……」
とりあえず拭くのは後にして、今は電話に出よう。
べとべとになってしまった右手は使えない。画面も確認せずに左手で端末を耳にあてた。
「はい…もしもし」
『わ、ひーくん』
「あ、お母さんだったの」
『あら、お母さんでごめんなさいね。ひーくんったら、全然帰ってきてくれないんだもの…寂しいわ』
「冬休みには帰るよ」
『そんなこと言わずに、毎日帰って来てもいいのよ?』
「はは、それ寮の意味が無くなっちゃうよ」
受話器の向こうでおねえちゃん?ひーくんよなんて声が聞こえる。
我が母ながら、相変わらずふわふわした人だ。
電話を受け取る度に行われる最早恒例となったこの一連の流れに足をぶらつかせた僕はあることに気がついた。
「え…姉さん帰って来てるの?」
『うん、昨日からね』
1歳年上の姉、海里(みさと)の麗しい姿を頭の中で形作る。
僕と違って文武両道で、容姿も申し分無い彼女は名門女学院に通う高校2年生だ。因みに普段彼女は伊吹家が所有しているマンションで1人暮らしをしている。
「何かあったの?」
『ふふ…まぁ、ちょっとね!そういえば荷物は無事届いた?送ったんだけど』
「荷物?」
『あら。まだ届いていないのね。でもすぐに届くと思うわ、間に合うから大丈夫』
「え、」
『日曜日、…式典?じゃ少しお堅いかしら。…そうね、パーティー!パーティーを開くことになったから、それに参加してほしいの。大丈夫、必要なものは全て郵送で送ったわ』
この時期に、何か催すもの…もしくは、祝うことがあっただろうか。何に関する式典なのかは教えてくれないらしい母。推理してみようかとずいぶん古い記憶を開けようとした時、金属が擦れる音がした。
夕だろうか…今日は帰りが早い。
『ひーくんにはサプライズってかたちで、ね!まあみーちゃんにとってもサプライズだけど…とりあえず、楽しみにしてて!』
「う、うん…あ、でも」
『ん?』
部屋に入ってきた夕は酷く窶れているように見えた。何かを諦めたような、それでいて決心したようにも見えるその顔は机上の有様を一瞥する。
濡れた手でゴメンとジェスチャーをすると彼は微かに笑ったのか、空気がやわらかに揺れた。
「あっ、そう、でね、日時とかは………ぁ、っ」
熱い粘膜が人差し指を包む。
突然のことに目を瞠った瞬間、歯を立てられ思わず悲鳴が漏れてしまった。
電話してるんだってば、携帯を揺らしてそう抗議する僕を無視した夕はさらに奥深くまで指を頬張る。
まるで性器を愛撫する時のように、裏筋をねっとりと舐め上げられた。
『ひーくん?』
「…ぁ、ごめん。それで、日時を教えてほし…もっ、ゆう」
『あー、日時ね、それも荷物に入ってるから安心して。開くと言ったけれど、実はそのパーティーの主催はウチじゃないの。だから招待状をチェックしておいてね。』
激しさを増す指への愛撫に息が熱くなる。
矢継ぎ早に言葉を紡ぐ母の言葉はあまり耳に入らなかった。
『当日はハイヤーを出すから…って、夕君もそこにいるの?』
「あっ、うん。」
『そう…よろしく伝えといてね。ひーくん達に会えること、楽しみにしてるわ。じゃあ準備があるから。じゃあね』
通話を止めた途端。
手を引っ張られて、ベッドに放り込まれる。
口をぱくつかせる僕。
夕の唇は弧を描いた。
再び指を舐めて、呟く。
「甘いね」
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