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崩れ行く幸せ
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彪真は転校した。
元々決まっていた転校だったらしい。俺には何も言わず、行ってしまった。
そうだよな、もう恋人でもなんでもない
言う必要なんてない。
けど、そんなのは建前だ。本音は言ってほしかった。
こんな別れ方なんてあんまりだった。
「……梓」
振り返った先には千隼がいた。
俺は涙をゴシゴシと制服で拭いながら、へらっと笑った。
「どうした?」
「……俺の前では無理に笑ってんじゃねーよ」
ぐいっと頬っぺたを引っ張られて思わず目を丸くする。
「泣きたいなら泣け、我慢する必要なんてねーんだよ。
俺は梓の側に居る。お前が嫌だって泣いても喚いてもずっと側に居てやる。
だから覚悟してろ。
アイツの事なんか考える暇ないくらいに、俺はお前を愛してやる」
千隼らしい言葉に、俺は泣いた。
わんわん泣いて、泣いて、泣いて、千隼にしがみついていた。
それが俺の昔の話。
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