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「皆も分かっているのでしょう?
この宮を咲耶が怖がっているのを。
人と融和している皆を怖がる咲耶が、鬼の里に連れていかれて正気を保てる訳がないんです。
正気を失ったまま死を迎えてしまえば、咲耶の魂魄は輪廻の輪に戻れない。
それどころか、永遠に闇をさ迷う悪しきものへと堕ちてしまうんです」
「だからって、さくらが食われるのは納得できない!」
「「そうだそうだ!」」
何がなんでも説得しようと、皆で声を合わせ始める。
「私なら、大丈夫。
小さい頃から宮司さまから沢山の事を教えて頂いておりますもの。
鬼に食べられた後は魂魄になって此処へ帰ってきます。
そしたら、また皆と一緒に暮らせるんです」
「「………………っ」」
「体は無くなりますが、心だけになって帰ってきます。
必ず皆のところに帰ってきます。
だから、………………許してください……」
笑っているのに、緋色の目からは大粒の涙がホロホロこぼれる。
「さくら……」
「さくらぁ……」
恐くないはずはない。
生きながらに食われるなど、想像するだけで体に震えが走る。
だが。
同じ鬼の滋養となるのであれば、命数が残り少ない自分が適役なのではないかと思ったのだ。
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