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惑い
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朝食を食べた後、咲良は風呂に入るように言われた。
「………………」
木とも岩ともつかない不思議な材質で出来た湯殿は、湯船も不思議な材質で。
丸い形の何かがついた蛇口と、不思議な綱のように細い筒があった。
「これは……?」
細い筒は柔らかくて、蛇のようにグニャグニャ曲がる。
先の方には、小さい穴が沢山開いた固い物が付いている。
如雨露の先に見えなくもない。
「どのようにして使うのでしょう……?」
首を傾げていると、徐に扉が開いた。
「…………まだ入ってなかったのか?」
「え、ええ……。
勝手が分かりませぬゆえ……」
「………………」
成る程。
咲良が風呂場に向かった後、ボイラーも静かなままなのを不審に思って様子を見に来て正解だったようだ。
使い方が分からなくて固まっていたと知り、守弥は湯殿へ足を踏み入れる。
「いつも使っているのは風呂桶だけか?」
「はい」
「そうか……。
これは使った事がない訳だな?」
「はい」
「取り敢えず、体を洗うときはこれだ。
この丸いのを左に回すと下の蛇口からお湯が出る。
右に回すと、シャワーが出る」
「しゃわー……?」
「ああ……。
そうか……シャワーを使わないのか……」
違う世界に生きてきた者であれば少し作法も違うのだなと、守弥は妙に納得した。
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