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俺に心はありますか
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人は傷付くのを恐れるあまり、何か大切なモノを失うらしい。
「…もう、やだ」
涙がぽろぽろ、幾つも幾つも頬を伝う。
流れては落ちるその雫は、どんなに流しても流しても、この鉛を溶かしてはくれない。
二回目に訪れたその絶望に、俺の心はもう耐えきれない。いっそ、壊れてしまったら、よかった。粉々に砕けて無くなってしまえば、よかったのに。
だけど、どんなにそう願ってもこの心は俺の中にあって。どんなにぼろぼろになっても、変わらずそこに存在しているんだ。
修復不可能なその傷は、一生、癒えることなんてなく、俺の中で絶えず痛みを訴えるのだ。
「…こんなに痛いなら、なくなっちゃえ」
小さく囁いたその言葉は、震えていた。
叫びたいほどの衝動に駆られながら、震える身体は悲しみよりも、痛さに絶えられずに蹲る。
ヒリヒリとまるで焼けるように痛むこの胸の痛みに、耐えられなかった弱い俺がいけないのですか。
この心は如何して、自分だけのモノじゃないんだろう。
この心は如何して、自分以外の誰かの為に使うんだろう。
この心は、どうあるべきですか。
些細なことで、痛むこころなら、無くなってしまえばいい。痛くて辛いのなら、こんなの、要らない。
消えることも癒えることもないこの痛みとともに、俺に生きていけと言うのなら。
捨ててしまえばいい。
ゴミ箱にポイッて、ほら。
何も感じない方が楽だから。
痛いとか悲しいとか辛いとか寂しいとか。
いらない。
全部。
…欲しくない。
何も。
どうか誰も俺のこころに傷をつけないで。
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