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3日前に遡る
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その日は、今日みたいに晴れてなかった。
生憎の雨。それもこれまた豪雨。
春先の雨はまだ肌寒い。
冷たい雨が、降り続く空は何処までも灰色に包まれていた。
「…イヤーな天気」
雨は嫌いだった。
体温を奪う水も、濡れた匂いも、地面を叩きつける音も。
傘を差したまま歩く。
ローファーだけど、水が入る。
冷たいし、嫌な感じ。
学校までの道のりがこんなに苦痛だったこと、あったっけ?
そんくらい、雨は酷いほど降る。
(近道するかねぇ、…人ン家の敷地だけども)
ひょいっと塀を昇る。
雨で滑らないように注意。
防寒と風邪対策につけたマスクを外す。
はあっと息を出せば、少しだけ息ぎれ。
体力なんてねーの。…俺のあだ名知ってる?
じーちゃんだぜ?
(長々歩くよか、まー近いから文句言えないけどねぇ…)
失礼しますよー、と敷地に足を踏み入れる。その瞬間、何か長いものに突っかかり俺の身体はぐらり、反転。
……ありゃ…?
こ、ろぶ…!
目の前には雨で濡れた地面で、それまたまあグショグショ。
俺の身体は、容赦なくそこにダイブ。
つまり飛び込んだわけ。ぐちゃっと地面のイヤーな音が耳に届く。
腕にも、足にもその柔らかい泥の感触が伝わる。…………ツイてない。最悪。
ゆっくりと起き上がる。
学ランは、泥だらけ。
掌にもべっとりと泥がついている。
泥を払いながら、辺りを見渡す。
吹っ飛んだ傘はいずこへ…。
木のお陰で雨は当たらないが、傘がなければ此処から出られない 。…困るなぁ。
途方に暮れていると、黒いレインコートを着た人物を見つける。
…雨の中、なーにやってるんだろーねぇ…。
ぼーっと眺めていると、その人物とばちっと目が合う。…あ。もしかして、此処の家の人かしら。ドロボーかなんかに間違われると面倒だなぁ。……ん?
…なーんか、見たことある顔だなぁ。誰だっけか。
雨のせいでよく見えやしない。
黒いレインコートの人物は俺を見るや否や、慌てて逃げて行く。
…なんだい、アレ。
本当に俺ドロボーかなんかに間違われたのかしらネ。
不意に足元に視線を向ける。
…んん?これ、さっき突っかかって転んだものじゃないかな。………これって。
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