アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
二人の秘密ってやつ
-
…今朝はえらい目に遭っちゃったなぁ。
あの後、結局傘は見つからなかった。仕方なく、ずぶ濡れのまま登校。そしてHRも間に合わず、担任に怒られた。…ツイてない。
雨は、まだシトシト降っている。
…あの傘、シオちゃんから貰ったのになぁ。
これ聞いたら、シオちゃん怒るかな。…説明するのメンドくさいなぁ。
シオちゃんとは俺のお隣さんで一個年下の男のコ。シオちゃんは俺と違って頭が良いから高校は進学校。…まあここも一応進学校だけど。
シオちゃんはしっかり者さんだけど、口煩いんだよねぇ。口を開けばダラしない、もっとしっかりしろと説教が始まる。…昔はこーちゃんこーちゃん可愛いかったのにサ。
そんな物思いにふけっていると、チャイムが鳴った。一時間目の授業が終了するお知らせ。
濡れた制服は後ろに干して俺はジャージ。
だるーんってしてるから、姿勢もよりダラーんとしてしまう。…俺悪くないよね?
ふああっと、欠伸を隠さず出す。
やっと身体があったまってきて、眠い。
「…望月、君さ、体育祭の出欠の紙出してくれないかな?」
声の方へと視線を向ける。
……紙?なんだっけ、それ。
声の人物は、くいっと眼鏡を上げる仕草をすると説明を付け加える。
「…昨日のホームルームで配っただろ?委員長の俺に今日のHRで集めるって話したの覚えてない?」
…あー…そーいえば、そんなことあったかも。
クラスの委員長である杜宮は、にこりと人当たりの良さそうな笑みを浮かべる。
「…あ、はいはい。これね。出すの忘れちゃって悪いねぇ」
このクラスに入ってから初めて話したなぁ。
しっかりしてて頼りになるクラスの委員長。
杜宮は、まだ始まって二週間のクラスをしっかりとまとめていて、人望も厚い。早くもクラスの中心的人物ってやつ?
「気にしないで」
杜宮はにこっと笑うとそのまま席へと戻ってゆく。…?あれ…、どっかで…。
今朝の事がフラッシュバックする。
俺は思わず、杜宮の腕を掴んだ。
「…委員長さ、今朝黒いレインコート着てなかった?」
委員長は、心底驚いた表情を浮かべる。
…ありゃ?俺なんかマズイこと言ったかな。
委員長の顔は焦りと動揺に染まると、そのまま腕をぐいっと引っ張られた。
「…わわっ…??!ちょ、委員ちょ…」
『いいから来い…!』
耳元で囁くと、委員長は俺を強引に教室から出す。口調が普段と全く違うんですけど…!
表情も、何時もの好青年からちょいワル少年の顔に…なんだか、コワイ。
廊下に連れ出されると、委員長はギロっと俺を睨む。…!!!な、なんですか!
「今朝のことは黙ってろ」
何か暴力でもされるんじゃないかって、どきどきしていたけど、委員長は凄い剣幕でそう放った。
俺はど肝を抜かれて、只目を丸くして委員長を見詰める。
そんな俺のことは御構い無しに委員長は言葉を続けた。
「俺とお前だけの秘密にしてくれ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 19