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お許しが出たので
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悲しみで涙に濡れ、兎のように真っ赤に染まった瞳に、理性で塞き止めていた欲望が溢れ出てしまい、彼にキスをしてしまった。
「ごめん」
「……なんで?」
「本当はずっと、お前が好きだったんだ」
「うそ……」
「本当。だから泣いてるお前見たら、俺の方があいつより笑わせてやれんのにとか思っちまって……まじでごめん、嫌だったよな」
「僕、は……」
想いの丈を暴露すると、目の前の彼は俯いてしまう。困らせてしまった、と自己嫌悪。そんな顔が見たいわけじゃないのに。キスして告白までしてしまうなんて、理性が小さ過ぎると自分を叱咤してやりたい。取り敢えず無かった事にしてしまおうか、なんて考えていると彼は口を開いた。
「……僕、今はもうあの人のことが好きかどうか、わからないんだ。ただ、情でずるずると関係を続けているだけなのかもしれないって思うと、なんか納得も出来るし……」
「うん……」
「だから、さ、都合良いかもしれないけど……」
「うん?」
「僕が、君のことを好きになれるように……頑張ってもらっても、良い?」
「!」
その言葉に思わず息を飲んだ。これは、期待しても良いという事なのだろうか。嬉しさやら戸惑いやら興奮やらで震えそうになる唇を一度引き締めてから、俺は言葉を紡ぐ。
「良い、のか……?」
「うん。君は?」
「良いに、決まってる」
「ふふ、変なこと言ってごめんね。でも、こうやってドキドキすることも久し振りで、なんだか嬉しいんだ」
にこっ、と本日一番の笑顔を見せた彼に、俺も釣られるように笑った。そして、彼に宣戦布告を叩き付ける。
「俺、本気で落としに行くから」
だというのに。
「うん、待ってるね」
なんて笑顔のままで言うから、少し気が抜けたのだった。
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