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車窓から見える風景は、家からどんどん遠ざかっていく。
理は母をまだ信じていた自身を嘲笑した。
心の中では母に対する感情もすうっ、と冷えていくようだった。
かわりに母への嫌悪感が立ち込めてくる。
わかりきっていたはずなのに。
「おい、大丈夫か。」
「………」
「まぁ、大丈夫な訳ないか。俺は立花。榛葉家の執事長をしている。」
「……!榛葉家、ですか?」
「ん、お前も知っているだろ?お前さんの家は榛葉家の系列の下請けの会社の社長で、金関係でうまくいってなかったことぐらい。」
…全然知らなかった。
母は何も俺に伝える気はなかったのか、と思った。
「お前はまだよかった方なんじゃないか?」
「どうしてそういえるのですか?」
「あの方、榛葉 李久様はとても優秀でお優しい方だ。俺たち家来も良くしてもらってる。見受けされた後なんて、大抵が不幸な生涯を送る。李久様はお前を正妻並の扱いとするらしい。あの方は独身だからな。」
「なぜそんな待遇を…?」
「俺にもわからない。俺たちはただ李久様の命令に従うだけだからな。ま、俺はお前の味方だから安心しな。お前のことは気に入った!車に乗せられてから落ち着いただろ?冷静に物事を考えられるやつは嫌いじゃない。何かあったら相談しろ。」
ちょうど信号が赤になり、俺を見て立花はニッと笑い、頭を撫でてきた。
・・・・
「頑張れよ、お嫁さん。」
30代と思われる少しワイルドな容姿に浮かべた笑顔が眩しい。
俺はあまり人に優しくされたことがないので困惑した。
「おっと、もうすぐ着くぞ。」
目の前には優雅な豪邸が広がっていた。
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